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世界に小指を立て続けろ『ガールズバンドクライ』!

『ガールズバンドクライ』を見終わった。大傑作。
誰が何と言おうと関係ない。私にとって『ガールズバンドクライ』は文句なしの大傑作であり、『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』や『ゾンビランドサガ』等と一緒に「墓まで持っていきたい」と思える作品だった。
以前にも書いたが『ガールズバンドクライ』は「ロック」を描いている。
作品名に「ガールズバンド」と含まれているのだが、自分が『間違ってない』と思った事を「間違ってない」と証明するために活動を続けるトゲナシトゲアリの在り方は「ロック」で、「ガールズバンド」という名前に似つかわしくないほど荒々しい。
五人が五人とも臆病で繊細で孤独と虚無感を抱えていて、でも絶対に「負けだと認めたくない」「間違ってない事を諦めたくない」と反抗精神を手放さない。
自分達が気に入らない事があったらすぐに小指を立てるその精神は紛れもなくロックだったし、五人がバンド内で殴り合いながらも「私達は間違ってない」と叫び続ける姿は、ロックスターの輝きそのものだったと思う。
それらは最終話においても変わらなかった。
プロになって最初に出した楽曲は再生数も売上も伸び悩んでいたし、ダイヤモンドダストとの対バンライブではトゲナシトゲアリのチケットの売上は不調気味。三割にも満たない数しか出ていないという。
そんな時に昔友人今絶交中のヒナから「自分が間違っていたと認めれば助けてやる」と言われた仁菜達は五人の話し合いの結果、その挑発的な申し出を拒否。責任を取って事務所を辞め、フリーとして活動していく事を決めるのだ。
ここまで「私は間違ってない」「理不尽に負けたくない」と叫び続けてきた井芹仁菜達トゲナシトゲアリなので、一ユーザーとしてはプロになってからも負けてほしくはなかった。
その矜持を捨てるぐらいならプロなんて辞めちまえ!ぐらいに思っていたので、この決断は至極納得の行くものだったのだが、初視聴時はモニターの前で小指を立てた。「やりがたった!」と「それでこそだ!」の二重の興奮で立てずにはいられなかった。最高だよ、トゲナシトゲアリ。
その最後のライブで披露した「運命の華」の歌詞が決して思う通りにはいかなかった過去を踏まえた現在を肯定し、未来まで歌い続けることを誓う歌だった点も完璧だったと思う。
おまけに仁菜が「ヒナはなぜダイヤモンドダストで歌っているのか」と気付いた点も素晴らしく、ライブ中にダイヤモンドダストとトゲナシトゲアリが少なくとも本人たち目線では正常な(でも受け入れられない)ライバル関係として成立しているのも賞賛を送りたい。
ヒナからすれば「不登校になったダイヤモンドダストが好きの友達の分も歌っていた」だろうし、そうした思いに気づいた事で仁菜の中でもダイヤモンドダストへの感情も一応の整理がついたような気がして。自分の知らないところで咲いた花なのだろう、多分。
そしてそのライブを見ているダイヤモンドダストの四人もよかった。
CGだから「同じ空間」という点が強く生きていて、ここも含めて素晴らしい出来だったんじゃないかと思う。
またこれは私的な感想であるが、『ラブライブ!サンシャイン!!』で爪痕を残す話を描いた酒井和男監督と花田十輝が、今度はしっかりと「爪痕を残し切る話」をやってくれたことが嬉しかった。
『ラブライブ!サンシャイン!!』は廃校を阻止するためにスクールアイドル活動を始めたAqoursを描いた物語だが、少なくともTVシリーズにおいてはAqoursは廃校を阻止することができなかった。廃校決定である。
廃校を阻止できなかった彼女達が次に掲げたのは「ラブライブ!で優勝することで、自分達の母校の名をスクールアイドルの歴史に刻みつける」という爪痕を残すための戦いで、ラブライブ!で優勝することでAqoursの名前とともに廃校になった学校の名前が輝き続けることとなった。
TVシリーズの続きとなる劇場版が作られた事で、その点については若干物足りない結末となってしまったのだが、『ガールズバンドクライ』は「爪痕を残し続ける=間違ってないことを証明し続けるための戦いを始めた」というところで終わったので、なんというか「やり切ったな……酒井さん……!」という気持ちである。
まあ『ヒーリングっど♥プリキュア』のEDを担当していたのも、この仕事があったからこそだろうし、そうした色んなものがこの作品に集まっている感があって、そういうところも「運命の華」だったのかもしれない。掴み取って残した ここでいつか華咲かせる。

アニメ使用楽曲でなんだかんだで一番好きなのは「雑踏、僕らの街」でお願いします。キャラは井芹仁菜です。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。