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『キラッとプリチャン』赤城あんなの覚悟と、ライバル宣言で迎え撃つ桃山みらい

『キラッとプリ☆チャン』三年目が始まってから4ヶ月が過ぎました。
そのうち二ヶ月ぐらいは傑作選だったので、エピソード的にはまだ1クール分も終わってないわけですが、それはさておき。
今週放送の110話でミラクルキラッツとメルティックスターについてまた一つ上の段へと物語が進んだため、現段階でのまとめとして書かせていただきます。

一年目でライバルに、二年目では仲間に

『プリチャン』が主軸としているミラクルキラッツとメルティックスターのライバル関係って「一年かけて作り上げたもの」なんですよ。
メルティックスターの方が実力も人気も圧倒的に高く、ミラクルキラッツはプリチャンでの動画配信を始めたばかりのルーキーで。競い争うことはあるし勝ち負けは発生するけれど基本的にはメルティックスターの方が格は上という状態がずっと続いていた。
その「人気も実力もあるメルティックスターと、それを追いかけるミラクルキラッツ」という構図が崩れたのが一年目も完結が目前に迫った48話「決着 つけてみましたわ!」のことでした。
この話でミラクルキラッツとメルティックスターが激突。何とか勝利を収めたミラクルキラッツがメルティックスターの赤城あんなから名前を呼ばれるようになり、ようやく「名実共に同格のライバル」のライバルになったのです。一年の大半を使ってエピソードを積み重ね、最後の最後で絵が彼ら「主人公達が格上の相手にライバルとして認められる」は一年目の名シーンでしたね。

二年目は個人戦が中心だったので「ライバル」というよりは「仲の良い友達」「ジュエルオーディションを目指す仲間」という印象が強かったのですが、これまでとは違う関係性が構築されていて興味深いものでした。。

ライバルであり続けるための変革

しかし三年目に入ってからのメルティックスターは、どこか余所余所しく、話しかけてもあんまり好意的な反応をもらえないという、二年目までとは全く違う態度を見せてきました。
メルティックスターの三人だけの時や、マスコット兼マネージャーのメルパンが絡む時は二年目までと同じ部分を見せていることから「わざとそういう態度を取っている」ということはユーザーには分かっていたのですが、「なぜそうなったのか」については描かれてきませんでした。

その「なぜ?」が描かれたのが先週放送された109話「まるっと解決? 仲直り大作戦ッチュ!パン!」でした。
このエピソードで明かされたメルティックスターの真意とは「今までと同じだと今までと同じ結果しか出ない」「だから今までとは違う状態になるために、あえてあの態度を取っていた」ということだったのですが、あまりにもメルティックスターらしい理由だったんですよ。
この二年間見せられてきたメルティックスターは「自分達の理想を三人で実現するためなら躊躇しないチーム」でした。
緑川さらの「メルティックスターのクール担当として、かわいいもの好きを隠す」というエピソードがあったのも「理想のためなら」ですし、紫藤めるの「思いついたらすぐにやってしまう」という点も、赤城あんなの「新曲の前には懸念点が潰れるまでレッスンする」という点も、全部そういう「妥協する気のなさ」から出てくるもので、そういう描写はこの二年間で何度も何度も描かれている。
そういうストイックなエピソードの積み重ねを見ていると「今までとは違う結果のため、今とは違う関係性を構築する」という結論に達するのは「メルティックスターらしい」んですよ。本当に「そういうところ」から始めていく人達として今まで描かれてきているから、違和感なく受け入れられる。
加えて言うのなら、それだけの覚悟が滲み出ているのもいいですよね。
「もう負けない」と言っている人間の覚悟がある。

また、そんな自分達の結論を説明することで、ミラクルキラッツに「私達の覚悟は見せた。貴方達はどうなの?」と問うてくるところが「赤城あんな」というキャラクターの魅力だと思うのです。
彼女は別に変わる事を強制しているわけじゃない。今までと同じ関係性を選んでも「それはそれでよし」なのでしょう。
大事なのは「今までと同じ」を選ぶにしても、それが「あえて」なのか「惰性」なのかということ。
そういう立ち振舞いが出来るところも赤城あんなの、メルティックスターの熱いところであり、109話の見所だったんじゃないかなと思います。

桃山みらいのライバル宣言

ただ109話で分かりづらかったのは「赤城あんなの『負けない』という宣言は誰に向けたものだったのか」ということだと思います。
ミラクルキラッツ全員に向けて言っていることは間違いないと思います。ですが、そんなミラクルキラッツの中でも特に「負けない」「貴方の事をライバル視している」と伝えたかった相手とは誰だったのでしょうか。

それについては109話の展開を受けて展開された110話において、「赤城あんなが今一番ライバル視しているのは桃山みらいで、あの宣言は桃山みらいに向けたものだった」ということが補足されたのですが、「貴方の事をライバル視しています」と本人から直接言われて「貴方はどうなの?」と聞かれないと分からない点が桃山みらいらしくて面白かったですね。
桃山みらいは「自分は自分、他人は他人」という切り分けが無意識のうちに出来ているというか、良くも悪くも人間関係にドライな子なので、他人に気持ちをぶつけられても大抵の場合は「そうなんだ」と受け流してしまう。
そんな桃山みらいを揺さぶろうと思うと、今回のメルティックスターみたいに「桃山みらい本人が違和感を抱くレベルでの変化」を起こさないと駄目なのはそのとおりだと思います。

メルティックスターは自分を揺さぶるために関係性を変える覚悟をした。
赤城あんなは自分をライバルとして強烈に意識している。
この2つのことを突きつけられた桃山みらいが最終的に出した答えは「次は負けない」という言葉でした。
メルティックスターの覚悟と赤城あんなの言葉をぶつけられて「現状を変えない」という選択も出来たはずだし、前回は「今までと同じじゃ駄目なの?」と言っていたはず。
にも関わらず、そこで「事実上のライバル宣言で迎え撃つ」という行動を取ったのは桃山みらいが「競い争い、高め会える好敵手」として再認識したからでしょう。だから改めてライバル宣言をしたのですよ。

その点を踏まえると、ミラクルキラッツとメルティックスターの関係性は「元通り」ではないのです。
トップを目指す争いが始まった中で自分達の関係性を改めて考え、再度定義したものである以上、その関係性は表面上は「元と同じ」に見えたとしても「互いを競い争うことで高め合える好敵手として自覚している」以上、本質的には異なるものでしょう。
ささやかなことではありますが、今回の関係性の更新は後々の展開で効いてくるんじゃないかと思っております。

最後に

『キラッとプリチャン』も今年で三年目なわけですが、これだけ長い時間見ていると「いつもの関係性」に視聴者としてもどこか甘えてしまう。そこで帯を締め直すようなエピソードを、1クールの大半を使ってやれるのは『プリチャン』の魅力なんだと思います。

ラビリンも本格的に登場しましたし、リングマリィの帰還も告知されています。今後どうなっていくのか。楽しみですね。




プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。