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『ウマ娘』4thライブ横浜で影をも恐れぬ怪物と勇者(変態)を見た

5月4日・5日に『ウマ娘プリティーダービー』の4thライブイベント「SPECIAL DREAMERS!!」の横浜公演が開催されました。
3月に開催された東京公演から約二ヶ月。その二ヶ月の間にも『ウマ娘』では様々な物語が生まれ、そして今現在も誕生し続けているわけですが、やっぱり「これから何が生まれるのだろう」と少し先の未来に思いを馳せたくなる。
そんな「少し先の未来」を楽しむためのヒントを探すべく、横浜公演も見ていたのですが、結論から言えば「十分なヒントを頂いた」と思います。
というか楽しかったんですよ。純粋に。見たいものは見れましたし。
今回はそんな「4thライブ横浜」の面白かった部分のお話です。

2日で違った趣きのライブを展開

一日目はゲストに桐生院葵役の岡咲美保が登場。出走者の中にハッピーミークやリトルココン、ビターグラッセと「ゲームオリジナルのライバル達」が登場している事もあってか、「ウマ娘世界ではこういう設定」という部分が強く出ていたように思います。
「メジロ讃歌」や東京公演でのシンボリルドルフとトウカイテイオーの構図を、トウカイテイオーとキタサンブラックで再演した「winning the soul」、エイプリルフール記念企画で3.5兆人のファンを集めたスマートファルコンを祝うかのように一日目唯一のソロ曲となった「全速!前進!ウマドルパワー☆」など、「ゲームをガッツリ遊んでいる人」に向けては分かりやすい文脈が多かったんじゃないかと。
特に「WINnin’ 5 -ウイニング☆ファイヴ-」はリトルココンとビターグラッセ、タイキシャトルとアオハル杯のメインキャラクターでしたしね。解説も含めて分かりやすく面白かったかなと思います。

二日目は細江純子がゲストなこともあって「競馬業界との交流会」めいた面白さがあったのも良かったですね。
ゴールドシップの厩務員だった今浪さんがゴールドシップのアクリルスタンドを手に入れるために頑張った話とか、オペラ劇場を見た細江さんが「同期の和田竜二騎手に伝えたい」とコメントしてたりとか、これまでとは少し違った「競馬業界との繋がり」を強く感じました。
そのこともあってか、二日目は「この歌をこのウマ娘達が歌うことの意味」が一日目以上に強かったかなと思います。
ゲーム中ではクラシック3冠(皐月賞・日本ダービー・菊花賞)の楽曲として使用されている「winning the soul」をサクラチヨノオーやウオッカ、キタサンブラックでやったのは「日本ダービーや菊花賞で勝ってる」という繋がりですし、その後の「NEXT FRONTIER」はナリタブライアンやゴールドシップやヤエノムテキ、つまり「皐月賞で勝ってる」繋がりになっている。
特に良かったのは「ユメヲカケル!」でしょうか。
全員で歌う「仲間でライバル!」に合わせたのか、「各々のライバルに向けた言葉」にしていて、分かる人には一際えもくなる演出になってましたね。

衣川里佳

今回どちらかといえば一日目の方が面白かったんですが、特にナリタブライアン役の衣川里佳とアグネスデジタル役の鈴木みのりが良かったですね。
ステージパフォーマンスでモデルになった競走馬の凄さを理解させてくる。
そういう「ウマ娘のナリタブライアン」「ウマ娘のアグネスデジタル」じゃなくて、「ナリタブライアン」「アグネスデジタル」としてステージ上に立っている。
その強さは今回二人が抜きん出ていたように思いました。

衣川里佳は『ゾンビランド・サガ』の頃から個人的に注目していた役者で、昨年の3rdライブの際に「ナリタブライアンとしてステージに立つ」ということが発表された際にも注目していましたし、配信という形で実際に見て楽しんでいたんですが、今回の4thライブ横浜と3rdライブの衣川里佳は全く違った。「ここまで変わるか」というぐらい"化けた"。
「見た目からナリタブライアンに寄せてきた」というのはあるんですよ。
この日のために黒髪に染めたとTwitterで語っていたし、赤いアイメイクをして、鼻筋にもテープを貼って、見た目からもう「ウマ娘のナリタブライアン」。それだけでも凄い事なんですが、マイクパフォーマンスもダンスパフォーマンスも、歌の中で見せる表情も「私を見ろ。私こそが最強だ」と雄弁に語ってくる。
役者の真髄を見た気がしました。同時に「ここで『ゾンビランドサガ』で一緒にステージに立っている田野アサミのパフォーマンスを傍で見続けてきた経験が花開くのか」と震えました。
田野アサミが『ゾンビランドサガ』で見せてきた「田野アサミであり、二階堂サキである」を、衣川里佳は自分のものにしてきた。自分なりのやり方で「衣川里佳であり、ナリタブライアンである」を表現してきた。
凄いものを見てしまった気がしています。想定外だ。

安定感で勇者だと納得させるアグネスデジタル

衣川里佳を「本番で化けた」だとすると、鈴木みのりは「抜群の安定感」で「なるほど。これはアグネスデジタル。そりゃ芝もダートも勝つわ」と納得させてくれる「説得力の化身」みたいな存在だったと思います。
鈴木みのりが凄いのは知ってるんですよ。
『マクロスΔ』の主役ユニット「ワルキューレ」のWセンターの一人として今日まで活動してきた実績がある。おまけにワルキューレでの相方はフライングドッグの秘蔵っ子であるJUNNAですからね。「たった一フレーズで有象無象の魂をつかむ」としか表現できない圧倒的な歌唱力を持つJUNNAの隣に立ち、長く活動を続けていく中で「自分に出来ること」をしっかりと確立した鈴木みのりが凄くないわけがない。怪物の隣に立てるのは、英雄か勇者だけなんですよ!
そんな鈴木みのりが、芝でもダートでも勝利を上げているアグネスデジタルとしてステージに立ってやったことが「歌もダンスも演技も、何においても抜群に安定している」なのはもう「これがアグネスデジタルか」以外の何者でもない。
「何でも出来そう」「何を振っても返してくれそう」という安定っぷりで「芝もダートも勝利するアグネスデジタル」を納得させてきたのは本当に凄い事だと思います。
「どういうアプローチをすれば、そのキャラクターの120%を引き出せるのか」。
キャラクターを表現すること、演技することへの鈴木みのりの出した答えを改めて噛みしめるようなアグネスデジタルでした。

次のステージへ

今回は二日間にわたっていくつかの情報が発表されましたが、一日目は「ナリタトップロード、テイエムオペラオー、アドマイヤベガの三人を主役にした新作アニメが準備中である」と「コパノリッキーが正式に参加決定」の2つが大きかったかなと思います。
前者についてはメイショウドトウの姿がキービジュアルにないことから「クラシックを描くのでは」と言う予想が立ってますが、この予想は当たるのでしょうか。後者も予想外の方向からの登場決定で驚きました。
一日目がすでに大きな話題だっただけに、心配されていた二日目の発表も「サクラローレル主役のコミカライズの媒体がヤンジャン、ジャンプ+、となりのヤングジャンプに決定」と、『うまよん』に続く新作アニメとして『うまゆる』の配信決定」、それに伴って「タニノギムレットとシンボリクリスエスの参加決定」と一日目以上の内容となりました。
全体としては「オペラオー達99年世代のアニメの発表」と「タニノギムレットとシンボリクリスエスの登場」が大きかったように思います。アニバーサリーを迎えて以降「時代を90年代から00年代に進めよう」とする意思はうっすらと感じていたのですが、今回の発表でその意思がより表立ったものになった気がしますね。

そして別枠で「『トップガン・マーヴェリック』のジャパンプレミアのためにトム・クルーズの来日が決定」「ウマ娘もジャパンプレミアに呼ばれている」というとんでもない情報が発表され、横浜公演は幕を下ろしました。
11月に追加公演もあるので、今回の思い出を胸に11月までテイクオフ!ですね。



プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。