2021年で一番面白かった「アニメの一話」

「今年一番面白かったアニメはなんですか?」
年の瀬も迫るにつれてそういう話題がちらほらと出てくるのですが、基本的に4クール物を見ることが多い私としては「このアニメのこの一話、このエピソードが面白かった」の方が断然書きやすい。
一年かけて視聴する作品は、視聴するうちに生活の一部になっていくので「良い/悪い」といった評価のテーブルに載せられない。日々の生活に採点をするようなものなので、評価しづらいんですよね。ただ生活の一部だからこそ、「特に良かったエピソード」は生活と共に記憶に残りやすい。
そこで今年のまとめの一環として「記憶に残っている面白かったアニメの一話」について述べておきます。

『かげきしょうじょ!』薫の夏

今年も面白い作品は数多く放送・公開されましたが、その中でも特に良かったのは『かげきしょうじょ!』8話「薫の夏」でした。
この「薫の夏」は、母親も祖母も紅林歌劇団に所属し、自身も紅華音楽学校100期生として入学した星野薫の「入学前最後の夏」を描いたエピソードなのですが、「何がよかったか」というと空気感。
星野薫と辻陸斗。
恵まれた家族を持ち、自らの意志で家族と同じ道を歩んだのに結果を出せない二人が運命のように出会い、会話を重ねるうちに惹かれあい、「普通の高校生」のような経験をする。
原作にも存在していた二人の間を流れる空気の青く爽やかな空気感と、「夢を裏切っているのでは?」という後ろ髪を引かれるような背徳感が、大地葉と畠中祐の演技によって台詞以上のものになっている。
おかげで夏祭りでの二人の決定的な違いが浮き彫りになった時の普通に憧れたがための失恋の涙が、情熱を感じさせるものになっていたし、物語を結ぶモノローグは原作以上の破壊力になっていたかなと思います。
そして何より、このエピソードを「夏の高校野球が終わる頃」に見れた事がとてもよかった。辻陸斗は高校球児なので、「彼が登場するエピソードを高校野球が終わる頃に見ることができた」というのは貴重な体験でした。おかげで原作を読んだ時に負った心の傷が、アニメのおかげで開きました。

『ミュークルドリーミーみっくす』28話

『ミュークルドリーミーみっくす』になってからというもの、「恋を知ってポンコツになる天才児」とか「掘り起こされる幼馴染の思い出」とかを見せられ、日曜朝から甘酸っぱさに身悶えしているのですが、そんな『ミュークルドリーミーみっくす』の中でも28話「京都でマイラブ♥」は「ただただいい話を見せられて泣く」という体験をさせられたエピソードでした。
この28話の何が良いって「全員が月島まいらの誕生日を祝うべく頑張る」って話になってることなんですよ。
主人公達はもちろん、どちらかといえば敵役のマスコットであるゆに達も「一番困っている時に助けてくれた人達だから」と月島まいらの誕生日を祝うべく、自分達の出来る方法で彼女の誕生日を幸せな一日になるように協力する。
去年は敵対していたゆに様達が協力することで、「去年の誕生日から今年の誕生日までの一年間」が総括される形になっていて、本当に美しい一話でした。

なおギャグ回では激落ちくん回を推します。

結びに

自分の守備範囲で言えば、今年はアイドル物がまた増えてくる流れが見え始めた一年でもあって、リアリティショー的な方向性からアイドルにアプローチする『SELECTION PROJECT』や、アイドルが死ぬことから始まる『IDOLY PRIDE』などがありましたね。
また昨年ライブ中止になり、二期はどうなっているのか音沙汰がなかった『ゾンビランドサガ』は今年正月からの攻勢を宣言し、二期こと『リベンジ』の放送やライブの開催を経て映画化の発表を果たしました。
『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』と『ラブライブ!スーパースター!!』も今年でしたね。
あとは『Tokyo 7th シスターズ -僕らは青空になる-』とか、アニメとドラマの複合だった『アイカツプラネット!』など色々ありました。
現在はようやく展開開始となったプリティーシリーズの最新作『ワッチャプリマジ!』に「面白すぎる」と唸らされているわけですが、さて来年はどんな作品が待っているのやら。
楽しみですねー。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。