キンプリ

『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』女神に誓った七人と「私達」の12話

ついに『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』最終話「Shiny Seven Stars Forever!」が放送され、1クール12話に渡って描かれてきたプリズムスタァ達の物語は終わりを迎えた。
最終回としか言いようがないほど完璧な最終回だった。ぐうの音も出ないほど完璧だった。この作品の結末としておそらくこれ以外ないだろう。エーデルローズ生達七人の物語を締めくくるのであればこれ以上のものはないと断言できる。
最高にして至高。完璧にして完全。
これを見ることが出来たという事実だけで大満足だ。
そしてこの結末を『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』で新たにプリズムの煌めきを知った人達と共有できた事をとても嬉しく思う。最高の時間を過ごすことが出来た。ありがとう『KING OF PRISM』。

さて一話から続けてきたこの『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』のテキストも今回が最後となる。最後らしく書いておきたいことは全部書いておくこととする。

一条シンの罪とその贖罪

シャインに身体を乗っ取られた一条シンは、独善的な愛情を観客に一方的に押し付ける暴力的なプリズムショーを披露した。医務室で目覚めたシンはそのプリズムショーを「自分のやりたいプリズムショーではない」と言い、自分が本当にやりたいプリズムショーを行うべく仲間達と共に向かうのだが、まずはっきりさせておきたいのは「11話で一条シンが犯した罪とはなんなのか」ということだ。
「見ている人を傷つけた」?
違う。一条シンが犯した罪とは「見ている人の事を何も考えていない、独り善がりなプリズムショーを行ったこと」だ。
観客達は皆「自分を笑顔にしてくれるプリズムショーが好き」で、「自分を必死で笑顔にしようと頑張っているプリズムスタァ達を応援したい」と思っている。
一条シン(シャイン)が行ったプリズムショーはそれに真っ向から反したものだ。『見ている人に笑顔になってほしい』なんて思いは欠片もない。ただ「凄いでしょ?僕のプリズムショーは最高でしょ?」と観客に見せびらかすだけ。凄いけれど観客の事を全く見ていない。自己愛のみを他者に押し付けている。
そんなプリズムショーを見せられた観客は何を思うのだろう。
自分達の事を考え、笑顔にしてくれると信じていたプリズムスタァが独り善がりで自分が笑うために行うプリズムショーを行うさまを見てどうなるだろう。
傷つくに決まっている。皆を笑顔にするためのプリズムショーを自分だけのものにしようとした。
それこそが彼の罪だ。シャインに乗っ取られていたとはいえ、一条シンが背負わなければならない罪なのだ。

その罪を背負う覚悟をした一条シンは立派だ。しかしそれ以上に立派なのは罪を背負った上でその罪に向き合い、もう一度プリズムショーを信じてもらうためにステージに立ち、そして「本当に自分のやりたかったプリズムショー」を行ったことだ。
一条シンが本当にやりたかったのは「皆の心に寄り添い、笑顔に出来るプリズムショー」。
シンが生み出したステージから飛び降りて観客達と直接触れ合うプリズムラッシュは、そんなシンのプリズムスタァとしての在り方、やりたいプリズムショーを具現化していると言える。それを最後の最後で七人全員で展開し、傷ついて冷たくなった人々の心を温めるための技として登場したのには大興奮であるが、そこからの「自分のプリズムスタァとしての信念を観客の前で誓う」というあの展開は素晴らしかった。贖罪以上に「プリズムスタァとしての自分達の使命」を全うしようとしている。
「信じられる」と強く感じる素晴らしい展開だった。
「観客と共にプリズムの女神に誓い合う」という結末も予想を遥かに超えていて、凄いとしか言えなかった。
「人の心は簡単に変わる」ということを踏まえた上での「永遠の誓い」。
重い。が、だからこそこの作品らしくもある。
今後彼らがどうなっていくのか。永遠の誓いを守り通す事ができるのか。続編が制作されるのであれば、その辺りが問われてくるのではないだろうか。

結びに-EDの「BOY MEETS GIRL」に添えて-

今回の『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』で『プリティーリズム・レインボーライブ』時代から存在した「男子メインの話をTVシリーズでやりたい」という目標を達成したわけだが、今回のTVシリーズではバラ撒くだけバラ撒いた設定が数多く存在し、また最終話のEDを見れば分かるように今後に繋がりそうな描写が散りばめられていて、一ファンとしては「早くこの続きを見せてくれ!」という思いが強い。

続編制作の話が出ていないわけがないと思うのだが、この続きを見るためにはこれまでのように応援していくしかない。菱田監督は観客が「続きが見たい!」と言ってくれる事を信じているからああいう展開にしたのだ。ならば私としても「見たい!」と言い続けるしかあるまい。
あの永遠の誓いはそういう意味も込められているのだろう。

「貴方達がこの作品を愛し、そして私達が貴方達を大切にし続ける限り、この作品を続けていくことが出来る!」という意味が。

これからも続いていくと信じて応援し続けていきたい。

余談:プリズムワールドとの接続解除

なお私個人が「あっ、やりやがった」と強く思ったのは「プリズムワールドからの接続が強制解除される」という展開だった。
作品展開上は「プリズムショーが出来なくなる」というピンチと「スタァと観客のプリズムの煌めきを信じる心がこの世界に再びプリズムの煌めきを満ちさせる」というドラマチックな展開のために用いられていたが、個人的には『KING OF PRISM』がプリティーシリーズから独立していくように感じられたのだ。

『KING OF PRISM』は『プリティーリズム・レインボーライブ』のスピンオフ作品として始まった。
しかし『KING OF PRISM by PrettyRhythm』『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』の二本で『プリティーリズム・レインボーライブ』の頃から考案されていた物語はほぼほぼ終了しており、『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』は前二作で新規で登場したエーデルローズ生やシュワルツローズ生達を中心にした物語になっている。
ここまで来るともう「プリティーリズム・レインボーライブのスピンオフ作品」というのは「同一世界である」「出自としてはそうなる」以上の意味を持たないし、いつまでもそこにこだわり続けることに意味はないと思うので「KING OF PRISMはKING OF PRISMでやっていく」という意味を込めているのだとすれば「それはそれであり」だと思っている。
『KING OF PRISM』も映画二本TVシリーズ一本と長く続く作品になったのだ。始まった当初は絶対に想像できなかった地平に辿り着くことが出来たのだ。そろそろ「プリティーリズム・レインボーライブのスピンオフ」というから卒業してもいいのではないだろうか。『KING OF PRISM』という一個の作品として愛していくのもいいんじゃないだろうか。

そんなことを『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』を見て思ったのだ。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。