「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -YELL-」最良だった三人の声優の話をしたい

『ウマ娘プリティーダービー』の5thイベント「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -YELL-」二日目を配信で見た。面白かった。
「アプリ三週年直前」「アニメ三期終了後」「映画情報解禁直後」という節目での開催となるナンバリングイベントだけあって、公演内容も発表内容も申し分ない。
アニメ放送直後のコンテンツライブだとセットリストは予想の範疇に収まりがちだが、今回は「『ウマ娘』というコンテンツ全体を包括するライブイベントなんだ」ということを押し出す事で「次の曲は何か」を読みにくくしていた点は評価したい。
特にアニメ一期~三期だけでなく、舞台もWEBアニメも漫画も同列で扱われていた点は、私のようなアニメ以外のメディアミックス作品も網羅的に見ているユーザーにとっては嬉しく、「メンツ的にやらないだろう」と思っていた舞台版の楽曲が聴けたのはとても良かった。

今回特に良かったのは矢野妃菜喜だろうか。
キタサンブラック役としておそらく今回の公演でも座長を務めていた彼女だが、アニメ三期を完走した開放感なのかそれとも演じることの延長線なのか、「一つの物語を語り終え、次に向かっている」かのような伸び伸びとしたパフォーマンスと、晴れ晴れとした表情をしており、「キタサンブラックの物語は終わったんだなぁ」ということをライブを通じて改めて感じさせてくれた。
アニメ三期OPだった「ソシテミンナノ」は、サビ前の「負けない」をシュヴァルグランが担当するジャパンカップ版……と思いきや、二番ではキタサンブラックがサビ前を担当。あの一言を放つと共に矢野妃菜喜が浮かべた不敵な笑みには有馬記念のキタサンブラックが重ねずにはいられない。
Cメロでの単独ダンスも素晴らしく、「矢野妃菜喜=キタサンブラックはとにかく強い」という印象が再演されたような気がした。

矢野妃菜喜以外だと今泉りおなも印象に残っている。
昨年の「WISH」や舞台版でも彼女の演技は拝見させてもらっているが、今年の今泉りおなはあの頃とは別人だ。「今回の方がいい」とかそういうレベルではない。
今回の今泉りおなは圧倒的に「ヤマニンゼファー」。ゼファー魂が宿っているとしか思えないほど「ヤマニンゼファーならこういう間で喋るな」「こういう仕草をするな」を見せてくれる。
今回の今泉りおなのおかげでヤマニンゼファーへの理解が深まったと言い切っても良い。
まさかあの舞台から一年でこういう成長の仕方を見せてくれるとは。見てよかった。

もう一人上げるとしたら中村カンナだろうか。
ナリタトップロード役として『RTTT』完結直後のライブでも主役級の扱いで楽曲を披露しているが、前回よりも今回の方が感情の歌への乗り方が格段に良くなっており、歌を通じて「ナリタトップロードらしさ」をより強く感じられた。「進化した」とでも言うべきか。
強く踏み込みすぎることもなく、けれども踏み込みが浅すぎることもなく、ナリタトップロードが自分の道を信じたように「これが中村カンナの信じるナリタトップロードだ」が適切な強さで出ている。
「今回のライブを見て改めて思った。この楽曲は三強の楽曲だけどやっぱりセンターはナリタトップロードだよね」と言いたくなる良さがあった。

最後になったが、サイレンススズカ役の高野麻里佳の話をしたい。
「ただいま」「おかえり」。
沖野さんとのこれだけのやりとりの中に、あらゆる物語が感じられる。
スペシャルウィーク役の和氣あず未と一緒の舞台。今では考えられないほど小さな企画で一期から走り続けてきた二人がまた一緒に見れる日が来るとは。見れてよかった。
まあすぐに全力で!とは思わないので、自分のペースでいいからまた高野麻里佳のサイレンススズカを見せてくれる機会があると嬉しく思う。

そしてシリーズの座長のバトンがキタサンブラック役矢野妃菜喜からジャングルポケット役藤本侑里へ。
藤本侑里座長のウマ娘ライブ、良い意味で見所しかないので絶対見たいな……と思ったことを記して、今回のライブの話は終わりにする。お疲れ様でした。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。