見出し画像

「ウマ娘 4th EVENT EXTRA STAGE」が示した「夢の先に夢がある」ということの価値

11月5日・6日に『ウマ娘プリティーダービー』のライブイベント「ウマ娘 4th EVENT『SPECIAL DREAMERS!!』」の追加公演「EXTRA STAGE」が開催されました。
『ウマ娘プリティーダービー』としては初のドーム公演で、事前に「今までの演出とはがらりと変わる」と言われておりましたが、ブラスバンド隊によるファンファーレから始まり、武豊とルメール両騎手による曲振り、久しぶりの復活となったレース場を模したランウェイなど、「今までにない」ライブとなっており、二日間とも楽しく過ごす事ができました。
ゲストは一日目に井上喜久子、二日目に沖野晃司。
どちらも異なるアプローチでウマ娘の活躍を盛り上げてくれていたと思います。
さて、今回のライブを改めて振り返ってみると、明確に「次のステージへと進んだ」を打ち出したイベントだったかなと思います。
既にダイタクヘリオス達を主役にした舞台、ナリタトップロード・テイエムオペラオー・アドマイヤベガを主役にした99年クラシックのアニメ化、サクラローレルを主役にしたコミカライズなどが発表されていましたが、『ウマ娘プリティーダービー』というIP全体として、どのタイミングで「次」に向かうのだろうか。
キタサンブラックとサトノダイヤモンドがゲームアプリのキービジュアル更新時に先頭を走るようになっている点から、一年以内にそれを決定的なものにする何かが来る!とは予想していましたが、今回の「4thイベントEXTRA STAGE」はその「決定的なものにする何か」だったかなと思います。

『シンデレラグレイ』の価値

一日目で凄かったのは『ウマ娘シンデレラグレイ』が中核に据えられていた事でした。
今やヤングジャンプの看板作品の一つと言っても過言ではない『シンデレラグレイ』ですが、これまでのライブイベントでは大きく取り上げることは少なく、オグリキャップやスーパークリークが参加することが告知されていても「オグリキャップ達の活躍はこちらで!」ぐらいの扱いでした。
今回の4thイベントもアニメやゲームなどの展開が強かったので、そちらをメインに据える関係上『シンデレラグレイ』が「添え物」になってしまっていたのは仕方がないところなんですが、一日目には「『シンデレラグレイ』パート」が設定。アニメやゲームに並ぶ第三のコンテンツ「コミカライズ」の代表格として『シンデレラグレイ』が取り上げられていたのは凄かったですね。
しかもこのためだけに映像をかなり作り込んでおり、『シンデレラグレイ』に触れてない人にも「『シンデレラグレイ』での魅力」が伝わるようなものになっていて、ファンが嬉しくなる扱いだったと思います。
またサクラローレルも今回のライブがほぼほぼ初めてだったのですが、このライブで演者越しにキャラクターが見えた後に「来年春にサクラローレルの物語『スターブロッサム』の連載開始」という告知が入る形となっていて綺麗に繋がっている。
一日目は全編を通して「漫画も『ウマ娘』を構成するコンテンツの一つ」というメッセージは出せていたと思います。

競走馬文脈連打とメインストーリー

そんな一日目の面白さに対し、二日目は何を中核に据えていたかというと「千秋楽(=終わり)」と「その先」だったかなと思います。
セットリストも「『ウマ娘』のライブの王道」ですし、「クラシック三冠を掴み取ったウマ娘」とか「モデルになったのがシンボリ牧場出身」とかそういう競走馬に由来する組み合わせや、「この歌をこのウマ娘が歌うことに意味がある」みたいなのも多く見られました。
「共通項に気づけば気づくほど、その面白さにどっぷり浸かることが出来る楽しいライブ」というのは『ウマ娘』のライブの面白さなので、知識量が増えれば増えるほど楽しくなってしまうのですが、二日目で一番良かったのはやはりメインストーリー第一部の主役を務めたチームシリウスでしょう。
ゲームアプリではメインストーリーの主役として駆け抜けてきたチームシリウス。各章にはそれぞれテーマソングが用意されていましたが、それを発表された順番に拾っていく流れは第一部の魅力を改めて噛み締めさせると共に、これの続きがあることを予感させるもので凄く良かった。
またその後、スペシャルウィークがメインストーリー第一部のifルートにて着用した『新衣装』で登場するのも最高でしたね。配布ウマ娘ではありますが、ここにきて「誰もが手にできるウマ娘」であることに意味を持たせてくるのはスゴいと思います。

チームカノープスとユメヲカケル!

個人的に一番良かったのは「チームカノープス」でしたね。
これまで個別での出演は結構あったんですが、チームカノープス全員が揃うことは一度もなく、今回で初めて「チームカノープス」としてツインターボ・ナイスネイチャ・マチカネタンホイザ・イクノディクタスがステージに立ったのですが、この四人で「ユメヲカケル!」という選曲が鮮烈で。
そもそも「ユメヲカケル!」って名曲なんですよ。
ウマ娘もモデルになった競走馬達も、皆夢を載せて、夢に向かって走っている。色々な人達の思いがその「走り」の中にある。
だから「ユメヲカケル!」って「誰が歌うのか、誰と歌うのか」で無限の文脈を発生させることが出来る。この歌は「そのウマ娘にしか出来ない文脈」を、「このウマ娘達でしか生まれ得ない文脈」を作り出せるんですよ。
一言で言えば「万人を最強にエモくさせる楽曲」なんですが、それをチームカノープスが歌った時には「どこかで見たい」と思っていた人間としては報われた気持ちになって、泣けちゃったんですよね。
G1に勝てなくても、カノープスのウマ娘達(モデルになった競走馬達)がその背中に載せていた夢は、決してG1勝利ウマ娘に負けてないんだ!ということもあったんですが、やっと見られたものが「ユメヲカケル!」とかちょっと強すぎる。Cygamesは早くツインターボとイクノディクタスを実装しろ!
なお、その直後の「木漏れ日のエール」はメジロマックイーン役の大西沙織とトウカイテイオー役のMachicoだったので、こっちの追込もすごかったです。

結びに

ライブのMCでも少し触れられていましたが、今回のライブは2ndと同じ「うまぴょい伝説」に始まり「うまぴょい伝説」に終わる構成だったんですよ。
2ndの後の『ウマ娘』ってゲームの情報は全然出て来ないし、アニメの展開も『うまよん』ぐらいで、たまにゴルシが動画を上げるぐらいで全然先が見えてこなかった。
「2ndのその先」に何があるのか。
それを知るファンは誰もいなかったんですよ。
でも今回は2ndの時と違って明確な「次」がある。
漫画では『シンデレラグレイ』は永世三冠編に突入しているし、来年春からはサクラローレルの『スターブロッサム』がやってくる。
アニメでは今は『うまゆる』が配信を開始しているし、来年春には99年クラシックのアニメがあって、今回アニメ三期の制作も発表された。
ゲームアプリは好調ですし、新たな展開としてダイタクヘリオス達の活躍を描く舞台も発表されている。そして5th eventの開催も発表された。
2ndと同じ「うまぴょいに始まりうまぴょいに終わる」だけど、4th eventはその次が明確に存在する。次はいつこのコンテンツに出会えるんだ!と思う必要がない。2ndと同じだけど2ndとは違うのです。次走があるんです。
終わってみて振り返った時に、そこに何よりも価値があるというライブになっていたのは良い事だし、美しいと思うんですよね。いや~見れてよかった。

そんなわけで。
また『ウマ娘』を応援し楽しむ生活を過ごしつつ、愛バと次走に夢と想いを託したいですね。キャストの皆様、スタッフの皆様、ブラスバンド隊の皆様。ありがとうございました。

余談。
出来ればどこかで「全員勝負服」のライブが見たいですね……。
今回は個別衣装がスマートファルコンとキタサンブラック&サトノダイヤモンド(小学生時の私服)とスペシャルウィーク(日之本一の総大将)だけだったので!


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。