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WEBアニメ『アイカツオンパレード!』背中を見ている人達からパワーと、台詞で滲ませる台詞の外の物語

5月30日はWEBアニメ『アイカツオンパレード!』四話の配信日でした。
約一ヶ月ぶりぐらいの新作ということで配信される日を楽しみに待っていたんですが、期待していた通りの純度の高い物語が展開されて最高に面白かったです。
視聴記録と見た直後の気持ちは残しておいた方がよさそうなので、今回も簡単にですがまとめておくことにします。

四校四様の興奮の隠しきれなさ

まずドリームアカデミーがステージを終えた後の各校の反応が面白かったですね。
「凄いものを見せられて高揚している」という点は共通であるものの、母校や出身世界の違いが現れた反応の仕方になっていて、ここだけで「この学校はこういう学校なんだな」ということがよく分かる。。プレミアムスクールドレスと同じく「各学校の特色が現れている」と言ってもいいでしょう。何気ないところで描写を積み重ねるのがアイカツ!シリーズらしく、楽しかったですね。
『アイカツスターズ!』の四つ星学園とネオヴィーナスアークは一年をかけて戦ってきたからこそ戦いの前でもにぎやかに過ごす事ができますし(「プレミアムスクールドレスは皆の思いの結晶だから可愛くないはずがない」という理屈は、アイドルの道の多様性を描いた『アイカツスターズ!』らしい表現で良かったですね)、『アイカツフレンズ!』は「ソロでの頂点争い」が描かれていない作品なので「ついにカレンさんと戦える」というところに趣きを置いて音城ノエルの物語を間接的に補強する役割を担っていて渋さがある。
『アイカツ!』のスターライト学園は有栖川おとめ達ぽわぽわプリリン組が「テンションが上ったからこそのいつもどおり」で、相変わらずの器の大きさを見せられた感じですが、大空あかりの反応だけが違っていて凄く面白かったです。

背中を見てくれている人達からもらえるパワー

WEBアニメ『アイカツオンパレード!』は、音城ノエルが同い年でトップアイドルの大空あかりとの「同じステージに立つ」という約束を果たそうとする物語です。
一話から三話までは、そんな音城ノエルが「自分の殻を破ってアイドルとしてデビューする」「母校の代表として自覚する」「自分の歩むアイカツ!に目覚める」という過程を経て先輩達を打ち破り、「ドリームアカデミーを代表するアイドル」になるまでを描いたわけですが、そんな音城ノエルの目標の一つであった大空あかりについては「追いかけている背中」以上には描かれてきませんでした。
今回の四話ではそんな「音城ノエルに追われる側」の大空あかりについて描かれたんですが、「見ててね、ノエルちゃん!」のセリフからも分かるように「追われる側だからこそ、より強く輝こうとする大空あかり」が描かれたのが凄くよかった。

追いかける側が凄いものを見せてくると背中を追われる側も負けてはいられない。だって追われる自分が台無しにするようなことをしてしまえば、追いかけてくる人の凄さを曇らせてしまうから。
この世界に数多ある『背中』から自分の背中を選んで、追いかけてくれた人がいる。
だから、その追いかける覚悟までしてくれた人達のためにも恥じないステージをしなきゃいけない。むしろ「追いかけてきてよかった」と思えるような、そういうステージにしたい!というのは大空あかりらしい。
そういう「追いかける側からパワーを貰って、追われる側もより一層輝く」というのもまたアイカツ!シリーズのテーマである「SHINING LINE*」なんですよ。渡す-受け取るだけじゃない。渡す側も渡される側も一緒に輝くからこその「輝く道」だと思うのです。
大空あかりと音城ノエルを通じて、そこに触れてきたところが本当に最高でした。

台詞外で語られる「あの時の先輩の気持ち」

そのことを星宮いちごが大空あかりに指摘する形で描いてきたところもシビれましたね。

「自分の背中を見てくれてる相手がいると思うと無限のパワーが湧いてくる。あかりちゃんもきっと今、そんな気持ちなんじゃない?」

台詞の上では「音城ノエルからパワーをもらっているよね、あかりちゃん」だけなんですけど、「大空あかりは星宮いちごに憧れてアイドルの道へと入り、彼女の背中を追いかけてスターライトクイーンになった」という『アイカツ!』の物語を踏まえると、この台詞には「音城ノエルのライブを見て大空あかりが今感じていることは、自分のステージを見た星宮いちごも感じているものだった」という意味も含まれていると思うのです。

直後にこういうカットがあるのもそのことの証明ですよね。

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大空あかりをはっとした表情にしているのは「今のこの気持ちは、自分を見ている時に星宮先輩も感じていたものだった」ということに気づいたからでしょう。瞳の中に星宮いちごを写り込ませているのはそのことを強調するためで、この1カットだけで「追われる側になったからこそ、知ることが出来たあの時の先輩の気持ち」を説明しきってるのが素晴らしかったです。

こういう台詞一つで、台詞にはないことを滲ませてくるのは凄いですね。
星宮いちご役の諸星すみれさんの演技がそういう「滲ませる演技」だったのもあるんですが、それに映像も展開も負けていない。互いに高め合う形で物語を盛り上げている。
熱かったです。

最後に

共にステージに立つ事ができたことを「おめでとう」と互いに称え合う大空あかりと音城ノエルとか、「競い争うこと」と「共に良いステージを作り上げること」が共存しているかのような最後のアイドルたちが手を繋ぐ展開とかも本当に素晴らしかったです。姫石らきの「見届人」のような動きも良いですね(彼女が見届けるからこそ最終回の価値がまた上がるので)。

次の配信日は7月11日と一ヶ月半近く先。
ですが、3日にはアイカツ!のBOXも出ますし、この一ヶ月ぐらいで素振りがてらこれまでの作品を見直していきたいですね。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。