『ユニコーンオーバーロード』につける文句はない

ヴァニラウェアの『ユニコーンオーバーロード』をクリアした。
プレイ時間は大体60時間ぐらいでトロフィーは全て回収済み。
評判がいいことと自分の誕生日プレゼントとしてプレイを開始したけれど、『原神』や『崩壊スターレイル』のことが若干疎かになるぐらいには熱中してプレイしてしまった。
最後の最後まで職業追加があるので飽きるところがなかったし、最高難易度も開放したからまだプレイできるかもしれない!と思っているが、まだやらなきゃいけないゲームは多いので一旦ここで辞めて、一旦感想を書いておく。
最初に言っておこう。
『ユニコーンオーバーロード』はプレイした人間の殆どがプレイ開始からプレイ終了まで80点以上をつけるタイプのゲームなので、どこかでやった方が良い。

行動が連鎖する部隊編成

『ユニコーンオーバーロード』ではまず部隊編成が楽しかった。
本作では初期で二人、最大で五人のキャラクターを編成して一つの部隊を構築していく。一人一人のキャラクターには多様な職業と様々なスキルが用意されており、それぞれの強みと弱みがある。
例えば「騎兵は歩兵に有利を取れる!」とか「この職業の弓兵は物理攻撃ではなく魔法攻撃として弓攻撃ができる!」とか、「攻撃時に対象一人の物理攻撃を魔法属性に変更するスキル」とか、「夜になると一部スキルの性能が変更される」とか。
プレイヤーはそれら一つ一つをよく認識し、五つしかない編成枠のどの役割を担わせるかを吟味して部隊を構築していくことになる。
最初のうちはそこまで考慮しなくても「歩兵には騎兵が有利だから騎兵を編成しておこう」とか「重装兵相手なら魔法を当てればいいんだな」ぐらいの認識でも問題なく機能する。
「戦闘そのものはオートバトルで進行する」という設定だし、敵の職業も限られているのでその程度でも十分面白い。繋がっていく面白さはこの段階でも存在している。
ただ終盤になり仲間にできる職業数が初期とは比べほどにならないほど増えてきて、「五人の組み合わせ」「五人で何をさせるのか」を意識し始めると面白さの質が格段に跳ね上がる。
その頃には「一つ一つのスキルに作戦を設定することでそのタイミングで優先して使用させる事ができる」という作戦設定が可能であることの意味がわかってくるからだ。
「どうすれば自分が一番やらせたい行動を実現できるのか」
「どうすれば有利/不利を極力減らせるのか」
「その上で移動力もきっちり確保できたりしないか」
このあたりを意識し始めた結果、終盤に差し掛かってからの『ユニコーンオーバーロード』は「自分の考えた動きをどうやったら実現できるのか」を必死で考え、試行錯誤を積み重ねる魔性のゲームとなってしまった。
プレイ感覚としては『ドミニオン』などの「デッキ構築ゲーム」の面白さに近いので、『ドミニオン』などをやり倒していた時期がある私などは「模擬戦」や、本番に近い状態で戦える「フリーバトル」を駆使して延々と自分の部隊の動きを回し続けてしまった。
「とにかく弱くてどうしようもない」という職業が存在せず、「これさえ入れておけば大丈夫」という職業も存在しないのがまた恐ろしい。
そうして試行錯誤して作り上げたチームで敵部隊を壊滅させるのはとても楽しかったのだが、ここまで部隊構築したら楽勝かというとそうではない。
なぜなら戦略シミュレーションとしても面白いからだ。

リアルタイムストラテジー

部隊編成は「戦術面での面白さ」だったが、最大10隊にもなる部隊を運用して様々なクリア条件を満たしていく「戦略面での面白さ」も『ユニコーンオーバーロード』の面白い点だった。
真面目な話をすると「敵部隊をどれだけ効率よく壊滅できたか」というのは、本作においてはそれほど重要な要素ではない。
だって敵部隊は無限湧きするし、どのバトルにも制限時間があるし、何より「一回の戦闘ごとにスタミナを消費し、0になったら移動ができなくなる」というスタミナシステムがあるので。
部隊同士の戦闘面では盤石であったとしても「部隊同士の戦闘が有利になる」でしかない。それらは戦略的な勝利にはさほど影響しない。
そもそも勝利条件の大半が「拠点の制圧」なので戦闘に勝ったとしても制圧出来なかったら同じである。
よって「各部隊を適切に指示し、戦場のどこに誰を送り、どうやってクリア条件を満たすのか」ということを最初から最後まで意識せざるを得ない。
メインストーリーの進行に関わる戦いなどではそれが顕著で、戦場の端から端まで移動するのは現実的ではないので「手持ちの部隊を2つ、3つに分けて一つ一つの拠点を制圧していく!」ということが基本的な動きになっていく。
そんな自分の指揮で部隊を動かして拠点を制圧し、前線を押し上げていく事で敵の圧倒的に有利な状況をひっくり返していく!が面白かった。もうずっとプレイしていたいほど面白かった。
フリーバトルを除けば一つとして同じ戦場がないので、その都度考えなければならない点も良い刺激になっていたし、各国のボスもちゃんと強かったので戦略を考えるのが最高だった。
攻略順がある程度固定化されるからトロフィー全回収程度で一旦引き下がれたものの、これで「攻略順が自由になる」みたいなDLCを出されていたら一生やってた気がする。
それぐらいには戦略シミュレーションとしても上質だった。

シナリオやキャラについて

シナリオやキャラクターについてはそれほど奇を衒ったものはなかった。
メインシナリオに至っては「悪の帝国に占領された土地を取り戻せ!」以上のものは最初から最後までなかったし、キャラクターについても「捻っているな!」と感じたキャラクターはいなかったと思う。
ただ個人的には「このぐらいの方が部隊編成や戦略シミュに没頭出来る」と感じた。
世界観的にも、物語的にも、キャラクター的にも、『ユニコーンオーバーロード』は良くも悪くも王道的なファンタジー戦記物だ。
エルフとか昨今のエルフ像を考えると一周回って新しさすら感じるほどクラシカルなエルフ像だし、他のキャラクターについてもそうで、特別目新しさや斬新さを感じる要素はこれといって存在しない。
ただよく言えば王道、悪く言えばベタだからこそ「本当に楽しんで欲しい部分」に集中できる。
だから個人的には「『シナリオ面では薄味』という点は確かだけれど、ゲームとしてのバランスとして見ると、これぐらいが適切だった」といったところになる。
まあ薄味といっても「占領されることの辛さ」とか「10年ぐらい経つと文化的に破壊されてしまっている」とか、そういう「戦争の被害」みたいなものはちょこちょこあるので、そういう細かい描写を拾っていくと全体の分量としては結構なボリュームなのでは?実際親密度会話とか結構あるし。

最後に

私が特に主に使用していたしていたのはアレインとロザリンデ/エルトリンデ姉妹、ベレンガリア、ユニフィ辺り。
どれももれなくユニーク職業で、専用の構築をすれば一回の戦闘で複数回殲滅できそうなダメージを叩き出せるのだが、特にユニフィが強かった。
弓兵は終盤になると使用率が下がる(弓兵の強みは「空中にいる敵に対して命中率を落とさないで済む」なのだが、必中させるスキルが充実してくるので弓兵じゃなくて良くなる)のだが、ユニフィだけは「攻撃スキルが全部強い」という関係でずっと使い続けていた。あらゆる要素が強いのは反則だと思うが、これでもバランスブレイカーではなかったのでヴァニラウェアのバランス調整能力は流石。ベレンガリアもずっと一線級の性能だけど、最終盤は「歩兵の中では継戦能力が高くて強い」ぐらいに落ち着いてたし。
大体そんなところだろうか。
難易度も調整できるしやり応えもあるゲームなので、プレイして欲しい。

ところでユニークキャラのカラーリングもいじれるのはすごいっすね。
エルトリンデのワンピって透けてるんですけどね。肌着の色って変えられるんですね。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。