一ファンとしては「『ひみつのアイプリ』第一話は期待に応えるものだった」としたい。

プリティーシリーズのアニメが復活する。
そのニュースを聞いたのは2023年のシリーズ合同ライブのことで、ライブ会場でその発表を見た私は思わず声を上げてしまったわけだが、あれから数ヶ月が過ぎてついにその「プリティーシリーズのアニメ展開再始動」となる作品『ひみつのアイプリ』が始まった。始まってしまった。
事前情報ではメインスタッフや制作会社は一新されていたのだが、『プリマジ!』で公募オーディションからのデビューを果たした藤寺美徳さんが主役を務める事やシリーズ定番キャラのめが姉ぇの続投などシリーズの生み出したものも一部登場。
そのためシリーズファンとしては「シリーズの伝統がどの程度残っているのか」「その上で新しいものがどれだけ提示されているのか」が気になっていたのだが、第一印象としてはどちらも程よいバランスになっていて、「プリティーシリーズのアニメ再始動」に相応しい一話だったのではないだろうか。
序盤こそ「開始時点からダブル主人公」というコンセプトに引っ張られていて、物語が絞り込めていない部分が感じられたものの、「普通の少女がどうやってアイドルプリンセス=アイプリとしてデビューするのか」という部分に物語が絞り込まれると作品全体に「プリティーシリーズらしさ」が帯び始めていたように思う。
シリーズの見どころの一つであるライブパートでは『ワッチャプリマジ!』までと遜色ないものが見られ、メインスタッフやタツノコプロが制作から外れたことから危惧していた音楽面についてもエイベックスが続投しているだけあって音楽面でも楽しむことが出来た。
もちろん「プリティーシリーズとしてどうか」だけでなく『ひみつのアイプリ』という作品としても「良かった」と思っている。
「本来の性格は明るく楽しく能天気だけど、人見知りで引っ込み思案で上がり性」という青空ひまりが、憧れのアイプリとしてデビューするチャンスで、大好きなアイプリ「ミーちゃん」に励まされてデビューする。
「何かを得たいのなら自分から行動しないといけない。勇気がなくて誰かに励まされても良いけど、最終的には自分なんだ」という事を強く打ち出しつつ、それによりもたらされるアイプリデビュー。そしてバズリウムチェンジはよく繋げられていた。
また「ひまりの親友である星川みつきがミーちゃんなのか?」という「秘密」の使い方もスパイスになっていて面白い。
『プリパラ』序盤でも見られた要素ではあるが、それを中心に据えて「お互いの正体を知らない」を物語として組み込めそうではあるし、このアイプリ全員が持つ「秘密」という要素が『ひみつのアイプリ』を『ひみつのアイプリ』足らしめる要素として機能していくのなら、色々と面白い展開が見れそうだ。
何にしても一年物の第一話は「この一年間こういう物語をやりますよ」というパイロットフィルム的な側面が強く出るものであるし、『ひみつのアイプリ』の第一話もそうなのだが、この作品の一話の場合は「この物語で一年やれそうな力と可能性」を感じさせるものが詰め込まれていて、1年後の景色を期待させるものとして、この一話は良かったと思っている。
タツノコプロがダンスモーションで協力していたり、CGディレクターは乙部さんだったりしたのも嬉しかった。
やっぱりプリティーシリーズといえば乙部さんだから……。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。