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『ワッチャプリマジ!』甘瓜みるきの「イワナイ」は物語で奥行が増す

『ワッチャプリマジ!』のキャラクターソングミニアルバム第一弾「PUMPING WACCHA!」が発売されました。
このミニアルバムには作中のCGライブ及びED楽曲のうち、陽比野まつりの「マジ・ワッチャパレード」、弥生ひなの「Starlight!!」、甘瓜みるきの「イワナイ」、ED曲である「Magical Future」の四曲が収録されており、「フル尺ではどうなっているのか」を探すのが楽しいミニアルバムなのですが、その中でも特に良かったのが甘瓜みるきの「イワナイ」。
昨年末のライブで一度フルで聞いていたのですが、あれから時間も経って、作品の話数も重ねたことで滅茶苦茶面白い楽曲に育ったなぁと聞くたびに感じ入っております。

相良茉優と小倉唯の声が重なるとき

『ワッチャプリマジ!』ではライブでステージに立って歌う「プリマジスタ」と、そのプリマジスタを支える「パートナー」の二人で楽曲が歌われております。
この「イワナイ」は、相良茉優演じるプリマジスタの甘瓜みるきがメインボーカルを担当して、小倉唯演じるパートナーのはにたんがコーラスを担当しているのですが、この二人の組み合わせがまず熱すぎる。
だって可愛いと思わせるためにあざとかわいい歌い方をしている相良茉優に、小倉唯が徹底的にサポートするような声の重ね方をしているんですよ.。
普通に聞いていてもあざとかわいさを感じるメインボーカルに、重ねるようにコーラスでもあざとさを加える。
それにより「かわいいしかない」と自分のかわいさに自信をもっている甘瓜みるきの「らしさ」が際立っている。
「あざとくて何が悪い」「かわいいはみるきの魔法」と語る甘瓜みるきと、そのみるきのかわいさに自信を持つはにたん。
このコンビだからこそ出来ることだし、同時に相良茉優と小倉唯が自身が演じるキャラクターを理解しているからこそ出来る楽曲で、聴き込めば聴き込むほどその緻密さが面白いです。

物語が進むことで奥行が増す

また「相良茉優と小倉唯の声を重ねよう」と言う発想の時点で「面白い事をやっている」と思っているのですが、24話を終えた今聞くと「初めて聞いた時とここまで印象が変わり、そしてここまで甘瓜みるきの事を研究して作られているのか」と感心させられたことが非常に大きかったです。
初披露となった五話の時の甘瓜みるきは「計算してあざとかわいく振る舞っている」「かわいい顔をしてしたたかに勝利を狙う」という印象で、個人的には「計算されている。でも天然の才能を見せつけられるタイプのキャラクター」だと思っておりました。
だからライブを見た人が「初恋のかわいさ」をみるきに重ねてくれるような楽曲にしたんだと。だから「イワナイ」はこういう楽曲なんだと思っていたのですが、その5話から19話ほどエピソードを積み重ねた事で今の甘瓜みるきは5話とはがらりと変わった印象のキャラクターになりました。
料理上手で、何だかんだ言いながらも付き合ってくれる。
才能の差は百も承知、それでも自分の『かわいい』と思うものは本当に価値があるものだと頂点を取ることで証明したい。
そのためなら絶対に勝ち続けたい。派手な活躍をしなくても最後の瞬間で抜きんでていればそれでいい。
みるきがそんな『強さ』を秘めたキャラクターであるということが分かった今「イワナイ」を聞くと、「素のみるきだったら絶対に言わないけど、それが最適解だと分かってるなら言いそう」なフレーズが楽曲全体に散りばめられている。
特に「君のためにかわいくなったの」とか、みるきがかわいくなったのは自分のためだから素のみるきは言わないと思いますけど、勝ちを狙うプリマジスタの時のみるきなら言う。
そういうキャラクターの展開がある程度されたからこそ見えてくる「楽曲解釈の奥行」みたいなものが「イワナイ」は特に強い。そして理解すればするほど、「みるきの良さを分かってるのは自分だけだからな」と言う気持ちを作ってくれる。
そういうのってものすごく「甘瓜みるきがやりそうなこと」で、それが表現されているのは凄い事だと思うんですよね。

結びに

『ワッチャプリマジ!』の楽曲からは「一年かけてキャラクターと一緒に育てていきたい」という意思を感じます。意図的に空白、余裕のようなものが持たされていて、物語が進行しキャラクターが育っていくとそこが満たされ、より一層完成度が高くなっていく。
弥生ひなの「Starlight!!」のように最初からある程度完成された楽曲もあるのですが、フルで聞くと「ここでダンスを見てほしいんだな」という部分がある。そういう部分に当てはまる物語が登場すると、楽曲もぐっと面白くなると思うんですよ。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。