そろそろ最終盤に入る『ひろがるスカイプリキュア』について思うこと

そろそろ来年のプリキュアの情報が公開される時期である。
それはすなわち現在放送中の『ひろがるスカイプリキュア』の終わりが見えてくるということなのだが、気持ちとしては『ひろがるスカイプリキュア』が終わることへの寂しさよりも、来年こそはと期待したい気持ちが強くなっている。
『ひろがるスカイプリキュア』は変身ヒロイン物として認知されている中であえて「ヒーロー」をテーマに据え、成人を迎えている者や男性のプリキュアがレギュラーで登場するなどシリーズ生誕20周年として相応しい企画で期待もしていたのだが、放送開始から40話以上物語を積み重ねてきた今は、未だに足元が覚束ず、軸も定まりきらない作品に「本当にあと8週ぐらいで一区切りつけられるのだろうか」と不安な気持ちの方が期待より勝っている。正直「唐突にラスボスが出てくるぐらいやらないと『終わり』を迎えることが出来ないのでは?」を真面目に考えているぐらいだ。
なぜ「終わらせられるかどうか」を疑っているかというと、『ひろがるスカイプリキュア』には「何をすれば終わるのか」がないのだ。
そりゃ敵対組織として用意された「アンダーグ帝国」を倒せば終わるのだろうが、アンダーグ帝国の具体的な目的も明かされておらず、因縁らしきものも「最高幹部のスキアヘッドはプリキュアを排除したい」ぐらいなので、倒したからと言って「脅威は去った」でしかない。
プリキュアに変身するソラ達の物語とアンダーグ帝国がどのように絡むのか最終盤に差し掛かった今も見えておらず、そのまま「終わった」という手応えを得ることは出来ないだろう。
こうなったのは「敵組織の描写を極力やらない」という方針だからだろう。より正確にいえば「敵組織の描写をやらないのならやらなくても成立する物語にしておかないといけないのに、そうした物語にしなかった」か。
例えば「怪物出現を災害のようなものとして設定する」とか「黒幕一人で、怪物は全てこいつの力で生み出されている」とか。
そうした「敵組織の描写をやらないならやらないなりに、敵とプリキュアが中長期的な物語として絡んでいく作戦を立てず、ただ敵組織の描写だけを削る」をやっている作品が『ひろがるスカイプリキュア』だろう。
もっとも、この辺は初期設計のミスとも言える部分なのだが。まあスタッフに何かあって一年引きずってしまったとか、そういう事も考えられるんで、結局終わってみないとなんとも言えないか。もしかしたら『YES!』以来の二年計画かもしれないし。

なお個人的には、「エルちゃんがキュアマジェスティへの変身能力を獲得したことが物語面でほぼ活かせておらず、ただの戦闘要員になってしまっている」とか、「キュアウイングことツバサ君の『空が飛べない種族が空を飛ぶことを目指す』という夢を『プリキュアになって飛べるようになったのでオッケー!』で解決扱いしている」とか、「保育士になるためのカリキュラムを調べてなさそうな描写が多い」とか、少し専門的な領域になると「この程度でいいや」と軽く処理されがちな点も本作にイマイチ乗り切れてないところなのだが、この辺は好みもあると思うので「自分の好みではない」でとどめておきます。
とりあえず映画は面白かったです。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。