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『ラブライブ!スーパースター!!』に見る「私達はどう見られている?」と悔しさ

『ラブライブ!スーパースター!!』2nd Season五話が放送されました。
前話は米女メイと若菜四季の加入をあまりにも鮮やかにやられたため、五話への期待が高まりすぎていたのですが、いざ放送された五話は「鬼塚夏美」と言うキャラクターを丸々一話かけて描いたような物語で、色々と凄かったです。まさか鬼塚夏美があそこまで金にうるさいキャラクターとは……。
ただ鬼塚夏美が登場した事でLiella!は今までとは違うものを意識するようになったので、結果的には一歩先に進んだ気がしますね。

「見られる」ということ

鬼塚夏美が持ち込んだのは「外からの視点」だったのかなと思います。
簡単に言えば「同じ学校ではないLiella!のファンや、ラブライブ!を楽しみにしている観客達は二期生達をどう見ているか」ということですね。
澁谷かのん達には「皆と喜びを分かち合いたい!」と言う目的があるから「二期生の加入は大歓迎」と考えていますが、そうした想いは内向きの(もっと言えば同じ学校の仲間内で共有される)想いに過ぎません。
外から見たら「新規メンバーの加入」であり、サニーパッションが語るライバルとして語っていた「Liella!」とは別の存在になるということです。
これまでの楽曲も「五人編成」から「八人編成」になるわけで、全く違うものになる。もしかしたら全体のパフォーマンスのレベルも「一番出来ない人」に合わせる形になるかもしれない。
こうした観点は現実世界で「Liella!が五人体制から九人体制になる」と聞かされた時も考えなかったわけではないので、またしても「現実世界で想定される反応を作品にも反映していく」という京極尚彦監督の凄さを感じてしまうのですが、アニメに絞った話をするとLiella!には平安名すみれを除くと「Liella!や同校の生徒以外がどう見るか」という「外からの視点」まで考えている人がいないので、「駄目でも精一杯やれば伝わるよ」で流されてしまう。
今回鬼塚夏美が(動画配信による広告収入のためとはいえ)「外からの視点」を本格的に持ち込んだ事は、Liella!にとって画期的な出来事でした。
特に二期生にとっては「Liella!のレベルを自分達が下げてしまうのでは」という危機感を強く抱く理由として機能していますね。
一期生達は「自分達も出来たから皆もいつかこれぐらい出来るよ」と励ましてくれますが、二期生は「今先輩達にどうついていくか」について悩んでいる。
ここに「二期生の物語」があると思うのですが、それが鬼塚夏美によってもたらされ、誰よりもスクールアイドルに対する情熱を持つ米女メイによって深刻な課題になり、若菜四季が検証によって課題を細分化し、桜小路きな子が暗くなりそうな気持ちを「やるしかない」に切り替えていく……というまとまりもよくて、「次代の担い手」という雰囲気が出てきたなぁと感じました。

一期生達の別の顔

また二期生が一気に増えたこと、後輩が出来たことで二期生も別の顔を見せ始めましたね。
先週に引き続いて部長としての顔を見せる嵐千砂都もそうですし、ゲームとは無縁の生活をしていたので興味津々になる葉月恋とかも面白かったんですが、今回一番良かったのはショービジネスへの憧れと子役時代の経験から知識が豊富な平安名すみれが鬼塚夏美の行動に常に冷ややかに見ていたことでしょうか。
Liella!って「自分達のスクールアイドル活動」が楽しすぎて、「自分達の活動が周囲に与える影響」について深く考えないところがある。
その事は三話でも少し触れられていましたが、今回鬼塚夏美が近寄ってきたように「Liella!の活動が自分達の想定外のものをおびき寄せてしまう」という可能性だってある。
この辺を真面目に捉えているのが平安名すみれというのは凄く良かった。
これまでも一歩引いたところで、他のメンバーが気づかないところを指摘しては唐可可に冷たくあしらわれてますけど、今回のように「食い物にされる」という状態の時ほど彼女の頼りがいは半端じゃない。
今回もある程度鬼塚夏美を泳がせておくことで言い逃れできない状態に持っていってますしね。
自身も「スクールアイドルに加入することでのし上がる」という目的で近づいたので、その辺りに敏感なのかもしれませんが、一期とキャラクター性を踏まえていてとても良かったと思います。
でも唐可可は平安名すみれのそういう俗物的なところを見抜いていたのに鬼塚夏美は見抜けてない辺り、平安名すみれを特別視し過ぎ。

結びに

Liella!のライブを見て「やってみよう」と思った桜小路きな子、スクールアイドルへの憧れを輝かせようとした米女メイと若菜四季の物語を見た後で、鬼塚夏美の「マニーのためなら何でもする」というキャラクター性は強烈でしたね。
ただそんな彼女のおかげで、二期生達が「自分達はまだまだなので、先輩たちと同じことをやっていても駄目なんだ」ということに気づいたのも事実。
来週は「お金のためなら何でもする」鬼塚夏美がスクールアイドルに入る流れとともに、二期生の活躍に期待しております。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。