『Fate/Grand Order』マシュの宝具が強化された事をユーザーだけが知らなかった。

『Fate/Grand Order』が盛り上がっている。ただしそれは悪い意味でだ。
事の発端は昨日6月7日のこと。第二部七章「Lostbelt No.7 黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン 惑星を統べるもの」(後編)」の開幕を告げる記事が更新され、「マシュ・キリエライトの宝具(=必殺技)が強化される」という記述が追加されたのだ。


既存キャラクターの強化頻度が決して高くはない『Fate/Grand Order』において、強化が行われたことそのものについては問題はない。むしろ喜ばしいことなのだが、問題なのはこの「マシュ・キリエライトの宝具強化」が「1月に実装済のメインシナリオの進行によって強化されること」、そして「該当箇所をクリアしているユーザーには『自動的に強化済とする』という対応を行った」ということだ。
マシュ・キリエライトはユーザー全員が最初に出会うサーヴァントであり、メインシナリオの進行に合わせて強化されていくことで、『Fate/Grand Order』における物語体験を盛り上げてきた。
とりわけ第二部においては、第一部完結によって失った能力を様々な方法で補強したり、とんでもない兵器を手に入れるなどの「シナリオ上での強化」に合わせる形でゲーム上での能力も強化され続けてきた。
それは「メインシナリオを進行させなければマシュ・キリエライトは強化されない」と表裏一体のものであるが、しかしこうした「マシュ・キリエライトはメインシナリオに合わせてゲーム上での能力でも強化されていく」があればこそ『Fate/Grand Order』における物語体験は本作の独自性であり魅力だったのだ。そしてマシュ・キリエライトは何だかんだ言われながらも「相棒」として認識されていたのも、こうしたメインシナリオとゲーム上での能力が連動していたからこそだろう。
共に苦難を乗り越えるからこそ、超えた先で彼女が強くなることに意味が生まれるのだ。

そういう意味では今回行われた宝具強化もそれ自体はおかしなことはない。
正しく「メインシナリオの進行に応じて強化が行われる」だろう。
問題は「既に該当箇所をクリアしてしまっている人間は、『メインシナリオに合わせた宝具の強化』を自分の物語体験として確認することが出来なかった」というこの一点にある。
熱心に『Fate/Grand Order』に取り組み、メインシナリオは既にクリア済みのモチベーションの高いユーザーほど、今回の後付による宝具強化実装により対応により物語体験を損なわれてしまっている。
この事実をどう受け止めるかは人それぞれであるが、少なくとも「バレンタインイベントが開催される前にシナリオを終わらせていたユーザーの一人」である私は大いに失望した。
元々第二部七章、特に後編に該当する箇所は「シナリオはいいけど、『1月末までにどうにか間に合わせる。そのために必要最低限の要素で実装を行う』という考えが透けて見えるぐらいゲーム部分に関しては面白みがない。それ以前の問題として、推奨端末の中でも上位に入る性能の端末ですら一部箇所で処理落ちしてるのもどうなのか」という評価であり、「一番の魅力であるメインシナリオでこの実装をやってしまうか」と思ってしまった人間ではあるが、まさか「マシュの強化イベント」が「必要最低限の要素」に含まれていないとは。
それだけでも熱が抜けた「マシュの強化イベントって『その程度』の認識なんですね」という声が出てしまうほど落胆する話なのだが、第二部七章後編実装から4ヶ月以上経ってから実装している点もいただけない。
「後から入れる」にしても4ヶ月以上経ってから……?
後編実装から今日に至るまで、イベントを四本ぐらい見た気がするのだが、あれらは私の夢だったの……?

来月末には『Fate/Grand Order』も八周年を迎えるわけだが、今後は「かわいい後輩の宝具が強化されていた事を俺だけが知らない」みたいな寝取られ物みたいなことはできれば辞めていただきたい。
それでは最後のマスターではなくハイラルの勇者に戻ります。




プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。