最終話目前だからこそ『ウマ娘プリティーダービー 3rd season』について考えている。

『ウマ娘プリティーダービー3rd season』も、残すところあと一話となった。
最終話の舞台が「有馬記念」であることに異論の余地はないだろう。
競走馬キタサンブラックのラストランとなったレースを持って『ウマ娘プリティーダービー 3rd season』は幕を下ろすのだ。
競走馬は「皆の愛馬」となったが、ウマ娘はどうなるのか。
俄然最終話が気になるところだが、最終話を前に一度『3rd season』を見てきた人間としての見解を述べておきたい。
いきなりだが、私は『ウマ娘プリティーダービー3rd season』のテーマを「何が残せるか」だと思っている。
競走馬は血を残すことが出来る。勝ち取った栄光を、届かなかった無念を、血とともに受け継いできた歴史を次代に託す事が出来る。
様々な媒体を見ている限り、ウマ娘はどうもそういうものではないようだ。
だが、だからこそ「自分が去る時、ターフに、ライバルに、ファン達に何を残せるのだろうか」を物語のテーマとして据える事ができる。
私は、それを『3rd season』のテーマに据えたこと、そしてそのテーマを担うものとしてキタサンブラックを選んだことを高く評価している。
「全盛期を過ぎた」という描写についても、「そういう見方もあるか」と一つの解釈として理解しているつもりだし、引退を表明した後のライバル達が「(キタサンブラックに)勝つんだ」と覚悟を固めていく描写も興味深く見ていた。

ただ、そうしたテーマを踏まえて『3rd season』を見つめ直してみると、まず「話数が少し足りてない」という気がしてならない。
キタサンブラックが競走馬として駆け抜けた「2015年4月末の皐月賞~2017年12月末の有馬記念まで」の二年半、全17戦にも及ぶ彼の走りを収めるには短すぎるのだ。
キタサンブラックだけに物語を絞るのであれば、あるいはキタサンブラックとサトノダイヤモンドの友達で、同士で、ルームメイトで、ライバルという二人の関係性に絞り込んでいたのであれば、13話に収まった気がしないでもない。
しかしながら『3rd season』は事前情報だけでもサトノクラウンとシュヴァルグラン、サウンズオブアースの参加が決定し、本放送が始まるとドゥラメンテとヴィルシーナ&ヴィブロスというシュヴァルグランの姉妹も加わってきた。2015年に引退したゴールドシップのこともある。
「彼女達の物語も押さえた上で、キタサンブラックの物語を形成していく」となると必然的に「描かなければならない描写」は増えていく。
例えレースそのものの描写をカット、あるいはエンディングに任せるにしても、その前段階でメインキャラクターの誰かに引き受けてもらう必要があるわけで、「やはり全13話という話数は短すぎたのでは?」が率直な感想になってしまう。
昨日放送された12話は、視聴しながらそうした「描きたい物語に対する話数の短さ」を強く感じていた。
シュヴァルグランが「キタサンブラックがいつも前にいた」という話をしていても、「シュヴァルグランの前を走り続けたキタサンブラック」はアニメでは描写が多くはないため、シュヴァルグランの心情に寄り添う際に意識的に補完していく必要があったからだ。
そんなことはスタッフも分かっているので「その光景」を新規で追加して補完しているのだが、「アニメで描かれたものを、シュヴァルグランの視点から描き直す」だったらもっと強かった気がしている。挿入歌やシュヴァルグランのモノローグが良かっただけに、「もうちょっと行けた!」という惜しさが今も胸の中に残っている。あと少しあったらシュヴァルグランのガチャも回していた。
とはいえ、前述したテーマを考えると「最終話を見ないと何とも言えない」という点を忘れてはならない。
この物語を見終えた時、貴方の胸に何が残るのか。私の胸に何が残るのか。
決戦は12月27日。同日には直前番組としてぱかライブTVも用意されている。
楽しみに待とう。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。