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皆で世界に響かせた「本当の歌」『ラブライブ!スーパースター!!』

『ラブライブ!スーパースター!!』2nd Season10話が放送されました。
9話が「Liella!が一つになる話」なら、10話は「Liella!と一つになる話」になっていて、ライブシーンも含めて2nd Seasonでも指折りの回になっていたかなと思います。
そんな10話で重要なのはやっぱり「本当の歌」。
これがウィーン・マルガレーテとの違い、そしてライブシーンの違いになっていたと思います。

ウィーン・マルガレーテの掲げる「本当の歌」

ウィーン・マルガレーテの強さとは一体なんでしょうか。
表現力?歌唱力?演出力? 色々あると思いますが、私は「本当の歌」にあると思います。
渋谷かのんの前に現れる時、度々口にしていた「本当の歌」ですが、今回の10話でウィーン・マルガレーテの指し示す「本当の歌」が具体的にどういうものか明かされました。
ウィーン・マルガレーテの示す「本当の歌」とは「自分の意志で世界をビルドする歌」であること。
「既存の世界を作り変える」のではなく「もう一つの世界を作り上げてしまう」。創造主の歌、でも言えばいいのでしょうか。
そこにあるのは「自分は選ばれた人間である」という才能への確信。ウィーンの振る舞い方を見ている限りでは「歌で自分の望むがままの世界を生きてきた」と言う経験からくる自信もあるのかもしれませんね。
それは「なりたい!と思えばなれるスクールアイドル」とは全く異なる「なりたいと思ってもなれない存在として生きてきた歌姫」だからこその歌と言えるでしょう。
そんな「自分の歌で生きてきた」という絶対的な自信がウィーン・マルガレーテに「本当の歌を持つ私がスクールアイドルに負けるはずがない」「そんな世界に溺れる渋谷かのんは『本当の歌』を持つ私と同じ世界にいるべきだ」という考え方を与えている。
実際彼女の歌はその自信通りに凄いのですが、彼女と唯一対等に会話をした事がある渋谷かのんはウィーン・マルガレーテの実力を認めながらも「強い」とは感じていませんでした。

渋谷かのんの歌、Liella!の歌

渋谷かのんがウィーン・マルガレーテの実力を認めながらも、そこに強さを感じていなかったのは「渋谷かのんにとっての歌」が、ウィーン・マルガレーテの言う「本当の歌」とは異なる、「皆がいたからこそ生まれた歌」だからでしょう。
それはスクールアイドルがあって、ラブライブ!があるこの世界だから生まれた歌であり、ウィーン・マルガレーテとは対局にあるものと言っても良い。
そもそも渋谷かのんって「歌いたい」と強く願いながらも、度重なる失敗により「歌うこと」に自信が持てないキャラクターでした。そんな彼女が変わることが出来たのは、その歌声に惚れ込んだ唐可可がスクールアイドルと出会わせてくれたからなんですよね。
失敗することを恐れずに歌えるようになったのもスクールアイドル活動があったからこそだし、自分達の存在を「自信」だと言ってくれる同じ学校の仲間達やサニーパッションのようなライバルがいたから今の渋谷かのんがある。
ウィーン・マルガレーテは「渋谷かのんには私と同じ本当の歌を歌う才能がある」「そんな人間がなぜスクールアイドルやラブライブ!と言ったレベルの低いものに本気になるのか」と言っていましたが、ウィーンが認めた渋谷かのんを作っているのはスクールアイドルやラブライブ!があったから。Liella!があったから渋谷かのんは歌う事ができる。
もっと言えば「失敗続きの人生を変えてくれたのがラブライブ!でスクールアイドルだった」。
なのでウィーンの考え方に共感できないのも当然だと思うのです。
そうじゃないことを知っているから。

東京大会でウィーン・マルガレーテを聞いたメンバー達が圧倒され、自信が揺らいでも渋谷かのんだけは全く気にしていない……という描写もそういうことなんじゃないかなと思います。
またそんなLiella!の歌が「観客も一緒に参加できるクラップ(手拍子)曲」というのも「一人で最強」のウィーンに対するアンサーとして最高でした。

補助線、心象風景で塗りつぶすライブ

ウィーン・マルガレーテのCGライブの話をしますが、まるで「心象風景で世界を塗りつぶしていく」かのようなライブ演出がされていた点が面白かったですね。
Liella!やサニーパッション、ソロライブってことなら『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のどのライブとも違う、「世界にはウィーン・マルガレーテがいればそれでいい」と観客すらも排除してしまうようなライブは圧巻でしたが、個人的には『ワッチャプリマジ!』の「Lux Aeterna」を思い出しました。

(正確には同日放送された49話の方が、よりウィーンのライブに近いんですが、まだCGライブ集には入ってないのでこっちで)

また『ワンピース FILM RED』のウタのライブシーンもこれの系譜ですね。
特に「Tot Musica」辺りは作中での扱いとしても近いかなと思います。

いずれにせよ、ファンタジックな力学が働いていそうなライブってラスボス感があって、「これにどうやったら勝てるんだ」と期待させてくれますね。

結びに

『ラブライブ!スーパースター!!』も残すところあと二話となって参りました。
放送開始前は「既に完璧な五人なのに、どうやったらあと四人も追加できるんだ」と思っていましたが、その辺りに自覚的な脚本だったおかげで、「九人が今のLiella!」と思わせてくれる作品になっていましたね。
最終盤となった今は「この九人以外あり得ないなぁ」と思うわけですが、一話前辺りぐらいから「来年もあるのでは?」という空気を漂わせており、「ひょっとしたら三年生編が……?」と言う気もしていて、ワクワクしてきました。
ですが、まずはウィーン・マルガレーテとの戦いがどうなるのか。
決着が着く直前でEDとなっただけに、彼女との決着を見届けましょう。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。