「i☆Ris LIVE 2021 ~storiez~」の個人的な感想

3月31日付でi☆Risから澁谷梓希が卒業しました。
そんな澁谷梓希の卒業公演となるライブ「i☆Ris LIVE 2021 ~storiez~」が3月28日に開催されましたので、見ながら感じていたことを卒業直後のメモとして書き残しておきます。

涙ではなく笑顔のこぼれる卒業公演

澁谷梓希の卒業公演は澁谷梓希はずっとステージに立つライブでした。
演出の都合などで休んでいる部分はあるものの、ずっとステージに立ち続けていたのは「i☆Risの澁谷梓希」の最後だったからだと思うのですが、それにしても興味深かったのは「涙や湿っぽさが殆どない卒業公演だった」ということでしょう。
九年ぐらい一緒にやってきた六人での最後のライブ。
「i☆Risの澁谷梓希」としては最後の瞬間。
それにも関わらず湿っぽさはなく、むしろ笑いと楽しさに満ちたステージになっていて、とても面白い時間を過ごさせていただきました。

「i☆Risを辞めても声優は辞めない」と事前に宣言していたことも影響しているのかもしれません。またどこかのステージで歌っていたり、ファンをイジったりする澁谷梓希を見る機会はあるだろうと思っていたからかもしれません。
ただそれを加味しても「別れではなく、旅立ち」という部分が強く出ている。「六人」がこれからは「五人と一人」になるだけなんだという事が全面に押し出されていて、見ていて楽しくて仕方がない。
振り返った時に名残惜しさみたいなものを感じることはあれども、「それぞれが次のステージに行く」ということを強く感じられてよかったです。

だからこそトリが「Memorial」で、本当の意味での最後が「color」だったのかなと。一曲目も「color」でしたし、綺麗な物語でしたね。

「卒業という概念があったのか」

最後の挨拶はよかったですね。
結成以来9年間も一緒にi☆Risをやってきた澁谷梓希が卒業するに当たって、メンバー一人一人が「i☆Ris」という声優アイドルユニットと向き合い、「5人になった時にどうしていきたいのか」を述べていくわけですが、卒業する澁谷梓希もこれから5人でやっていく他のメンバー達も、長い時間をかけて自分が納得できる答えを見つけていて。そういう自分が納得できるものがあったから、卒業公演なのに「湿っぽさ」が微塵もなく、笑顔で「これからも頑張って!」と言えるようなライブが出来ていたのかなと思いました。

特に印象深いのは久保田未夢の「i☆Risに卒業という概念があったのか」という発言でしょうか。
「澁谷梓希がi☆Risを卒業する」という発表があった時、私も同じことを思ったのです。
「i☆Risって卒業するという概念があったのか」と。「ずっと6人で続けるか解散の二択だけでしょう」と。
確かなものは何もなく、ライブとか普段の振る舞いとかを見ていた時に感じた手応えのようなものを何となく信じてきたので、卒業発表を見た時も「えっ。卒業、出来るんだ」という想いの方が先に出たのです。
卒業するのがメンバーの中でも特に「どこででもやっていけるタイプ」と思う澁谷梓希だったからそう感じたのかもしれませんが、ともかくそういう事が出来るユニットだったことが衝撃的でした。
そういう認識が観客側だけでなく、ステージに立つ側でもそうだった……ということを物語る久保田未夢の発言は良かった。
一人一人が「i☆Ris」というものに向き合って答えを出していったこと、そしてこれからの5人体制のi☆Risで世界に挑んでいくことに力強さを与える良い発言だったと思います。

「やめんの!?ふざけんなよ!!」

でも一番よかったのはリーダーの山北早紀でしたね。
誰よりもファンの目線に近いところに立ち、i☆Risのリーダーとして活動している山北早紀なので、澁谷梓希の卒業を聞かされた時に「やめんの!?ふざけんなよ!」と思った話は、多分ファンほど「言ってくれた」と思ったんじゃないでしょうか。心の片隅ではどこか感じていたことだと思うので、それを直接言ってくれたことは本当に良かったと思います。
また引き止めるために一席を設けたりとか色々やった上で、あの発表に至っていた。
そのことだけで満足なんですが、それに加えてファンの目の前で「卒業したことを後悔させてやる」と澁谷梓希と宣言したのも熱かった。
卒業を受け止めるだけでなく、「新しいものを見せていく」と宣言したからこそ、これからのi☆Risの魅力に繋がっていくんじゃないでしょうか。

結びに

「i☆Ris」という声優アイドルユニットの面白い点の一つに「得意な事も出来る事も性格も違うけど、同じ空だけは見ている」というところがあると思うんですよ。
バラバラだけど仲は良くて。それぞれの領域を大切にしているというか。
だからこそ今回のように「卒業」となっても「違う道へ行くだけ」で、「劇的に変わるわけではない」と思えたんですよね。少なくとも私は、ですが。
何にしても3月31日は終わり、4月1日を迎えました。
これから先へと進んでいく5人と1人の見せるものを楽しんでいきたいですね。



プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。