『プリパラ』稼働終了によせて。

2024年3月24日。
公式ショップのみでひっそりと稼働し続けていた『プリパラ』がついに稼働終了の日を迎えた。
稼働日数は……『プリパラ』の後継作である『キラッとプリ☆チャン』も同じ筐体だし、公式ショップでは『キラッとプリ☆チャン』や『プリ☆チャン』の後継作である『ワッチャプリマジ!』に移行してからも稼働していたから「連続3545日」という認識でいいんじゃないかと思う。
10年近い年月も続いていたことにびっくりする。同時に『プリパラ』に最初に触れた時に感動した時の事を思い出し、「あれからもうそんなに経つのか」と遠くを見つめてしまうが、ここまでくれば大往生と言って良い。終了理由は「筐体が壊れた」とかじゃなくて「もうカードがない」だし。
何だかんだでずっとプレイしていた筐体だったし、公式ショップに行くたびに見ていた筐体だったので、もう見れなくなるのかと思うと寂しくなってしまう。「さよならだけどさよならじゃない」では誤魔化せない喪失感がある。
でもあの筐体はやっぱり凄かった。
大きな故障らしい故障がないまま稼働してたんだから凄いに決まってるのだけれど、『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』はやっぱり凄かったんだ。

自分だけのプリチケがその場で手に入る

『プリパラ』で熱かったのは、過去に同人誌などでも記しているように「オンデマンド印刷機能を搭載した筐体だった」ということだろう。
「オンデマンド印刷機能搭載のアーケードゲーム筐体」自体は『プリパラ』が稼働開始した当時でも珍しいものではないし、子供向けゲームにしても2012年3月から稼働開始した『モンスター列伝オレカバトル』があるので「革新的」というわけでもない。
ただ「女児向け」に限って言うと(そもそも種類が少ないというのはあるが)、おそらくあの当時としては唯一無二の存在であったし、オンデマンド印刷機能による「自分の分身とも言えるマイキャラがプリントされたチケット(プリチケ)が出てくる」というのは『プリパラ』でしか味わえない面白さだった。
二年目からは「ドリチケ」という「プリパラ2枚分の大きさのプリチケ」が登場して自分のマイキャラをより大きなチケットで眺める事が可能になったり、同じ筐体を使用した『キラッとプリ☆チャン』へ移行後は「自分で撮影した画像を印刷する」ということができるようになった。
このように「その場で印刷したチケットが手に入る」という遊びをいくつも生み出してきたのが『プリパラ』やあの筐体なのだ。
正直今でも「あそこまで手を変え品を変え楽しませようとする開発者の期待に答えていたのはそんなにないんじゃないか」と思っている。
だって『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』を合わせると3年9ヶ月ぐらい「新しいもの」を出し続けていたことになるわけで。
その後のオールアイドルシリーズ(2019年10月~2022年2月末)も大きくは変わらないけど、印刷機能を使った飽きない工夫がされ続けていたわけだし、やっぱりおかしい。

トモチケ交換が筐体周辺をプリパラに変えた

これも同人誌などで触れていた事だが、『プリパラ』が凄かったのは何と言っても「トモチケ交換」だ。
筐体から排出されたプリチケは上部分が切り離せる「トモチケ」となっており、これを他のユーザーと交換する遊びのことを「トモチケ交換」と呼ぶ。自身がプレイする際に他ユーザーのトモチケを読み込むことでそのユーザーのマイキャラをゲームに登場させることが出来るのだが、この「トモチケ交換」が凄かったのは『プリパラ』の筐体周辺をトモチケ交換を行うコミュニケーションの場所として機能させたことに尽きる。
『プリパラ』をプレイするために並んでいる時とか、プレイし終わった時とか名刺交換のような感じでトモチケ交換が行われている光景はよく見かけていたし、自分自身もライブ会場では隣の席のファンとトモチケを交換したこともあった。あとは興味がある人にトモチケを押し付けてみたりとか。
それらは全て『プリパラ』のアニメで描かれていたような光景で、このトモチケ交換により『プリパラ』だけでなく作品周辺にまで拡大することができていた、もっと言えば「トモチケ交換は『筐体や作品周辺までを含めて<<プリパラ>>という作品にしてしまった」と思うのだ。
文脈的にはゲームセンターのコミュニケーションノート文化の延長線になるのだが、それを児童向けゲームで展開して定着させることに成功していたのは「アレって実は凄かったのでは?」と思ってしまう。本当に今更なのだけれども。

ex:アニメとの連動が凄かった

『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』のゲームといえばアニメとの連動も凄かった。アニメを見てプレイする意欲を掻き立てられるほど、連動に関しては突き抜けたものがあった。
「アニメで登場したキャラクターが次の弾からプレイできるようになる」は当然として、「アニメで海外に行ったので一時的に離脱したキャラクターは使用不可になり、一時帰国した際に使用可能になる」とか普通にやっていたし、プレイ可能期間としては一ヶ月ぐらいしかない特別なライブが実装されたりした。
楽曲についても、それこそ「アニメで初お披露目となった楽曲が次弾をまたずに追加される」とかやっていたし、リアルタイム性という意味では常に楽しませてくれていたと思う。
アニメと関係ない部分で言えば『キラッとプリ☆チャン』で「歌ってみた」としてカバーソングを実装したのも面白かった。
『キラッとプリ☆チャン』自体が「動画配信」を題材としていたのもあるが、DA PUMPの「U.S.A.」を「この楽曲が今年を代表する流行曲であるうちに」実装したのは感動した。プレイした。
でもその延長線にあるのが「アニメで初お披露目された楽曲が数時間後のライブで見れる」だったのがこう……。

『ひみつのアイプリ』へと続く

一つの時代が終わった。
そう言ってもいい稼働終了だったが、でもこれで「終わり」ではない。
そう言えるのは今日から最新作となる『ひみつのアイプリ』が稼働開始し、アニメが今週日曜日から開始するからだ。


それに『プリパラ』は『アイドルランドプリパラ』があるし、『キラッとプリ☆チャン』もバーチャルミュージカルとして『ハイスクールプリ☆チャン』が制作されているので、作品そのものが終わったわけではない。
そもそも『アイプリ』では『アイプリバース』として歴代シリーズの共演も告知されているので、会う機会はまだまだあるはずだ。
これからの展開にも期待したい。年末ライブとかね。
そろそろ50人ぐらいステージに上ることになるんじゃなかろうか。








プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。