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『ミュークルドリーミー』が期間限定配信されるので、その魅力について考えてみた

日曜朝10時30分より放送している『ミュークルドリーミー』が、期間限定で全話配信されることが発表されました。

この作品については、常日頃から「見てくれ。今一番面白い作品なんだ」と言っている人間なので、配信されること、そしてこれを機会に追いついてくれる人がいることを嬉しく思います。
配信があるもののyoutubeなどでは配信していないため見てくれる人が少ないにもほどがあったんですよ! 期間限定とはいえ、youtubeで配信してくれるのは本当に嬉しいです。ありがとう、サンリオ!

ただ「面白いって言うけど、『ミュークルドリーミー』ってどんな作品なの?どこが面白いの?」と思う方もいるんじゃないかなと思います。
なので今回は、個人的な「ここが面白い」というところを書いていきたいと思います。参考にしてください。

「夢」を題材にしたコメディが楽しい

『ミュークルドリーミー』の面白さとは何でしょうか?
「月島まいらがかわいい」とか「独特のテンポの会話のキャッチボールがいちいち面白い」とか「わしーと鳴く鷲を始めとした小ネタが面白い」とか「ライバル役であるゆに様がキャラクターとして凄く魅力的」とか色々あると思いますが、個人的には「世知辛さすら感じるネガティブな感情の発生理由と、エキセントリックにも程がある暴走の様子(及び夢の世界での解決)」があるんじゃないかなと思います。

『ミュークルドリーミー』では、様々な理由からネガティブな感情から心の隙間=ブラックスキーマを生じさせてしまった人々がゆに様達によって暴走させられる様子がほぼ毎回描かれます。
ブラックスキーマの発生理由であるネガティブな感情は人によってそれぞれで多岐に渡るんですが、間違いないのは、1話のゆめママの「職場で上司からも部下からも頼られすぎてストレスを抱えてしまう」や13話の安西ときわの「引っ越しして環境が変わった」のように、「地に足のついた現実味のある理由」になっていることと、暴走の様子が全部面白いことです……!
1話のママのように「仕事を途中で投げ出してやけ食いや衝動買い、カラオケで発散」のようなものもあれば、「ちょっとわがままになる(なお暴走しているのは幼児なので誰もそのことに気づかない)」のような分かりづらいもの、慣れ親しんだユーザーでも狂気を感じる「プチトマトマン出現」など、本当に何でもありで暴走描写だけでもう面白いんですよね。使い方も毎回考えられているのも最高です(幼児の暴走は「暴走している幼児に振り回される」というシチュのコメディになっている)。

またパートナーのみゅーちゃんと共に、問題解決のために夢の世界へと飛び込んだ日向ゆめが見る世界は暴走の様子に輪をかけてエキセントリックなのも『ミュークルドリーミー』の面白いところですね。
日向ゆめのペットであるきゅうちゃん(犬)の夢とか、「日曜の朝から犬の擬人化(美少年)」を見せてくるとか思ってませんでしたもの……!(色々危ない回だった)

こういうやりたい放題気味のコメディが面白くて、毎回見ているところはありますね。

中学生の恋愛模様が美味しすぎる

夢を利用したコメディを「『ミュークルドリーミー』の毎話の面白さ」とするのなら、日向ゆめと南川朝陽を中心とした「中学生になったことで幼馴染二人の関係性も変化していく」という恋愛物の面白さは「『ミュークルドリーミー』の長期的な面白さ」と言っていいでしょう。

一話ではまだ小学生で「仲の良い友達」「兄妹(姉弟?)同然に育った二人」でしたが、中学生になって周囲でも色恋めいた話が出てくるようになったことで、少しづつ相手のことを異性として意識していく。
元々距離が近いからこそ大きく踏み込むことが出来なくて。だから他人からは「本当にただの幼馴染な関係性か?」と言われて。だけど関係性が大きく変わってしまうのも……という気持ちもあって。でもゆめには好きな人が出来て、あさひも同じ部活の女の子に告白されて。

『ミュークルドリーミー』は、そんな「幼馴染で付かず離れずの距離を続けてきた二人が、中学生になったことや周辺で発生した人間関係の変化によって、自分がゆめorあさひをどう思っているのかを見つめていく」という幼馴染だからこその思春期恋愛模様とその行く末を、一年を通して丁寧に描こうとしている。
一年物で「恋愛」を主題に据える作品が少ない中で、それをド直球で描こうとしている作品が魅力的でないわけがないんですよ! おまけにその恋愛模様の進展は動く時は1cmでも確実に進んでいくのだから応援しがいもあって最高ですね!(『朝陽はゆめちゃんに対して、犬より好意を見せてない』と言い出す大人達の中にいた事実を思い出しつつ)

詰め込んでいるのに分かりやすい

これは少々マニアックな観点だと思いますが、『ミュークルドリーミー』は桜井弘明監督の「詰め込めるだけ詰め込む」という作風の関係か、とにかく内容がぎっしり詰めこまれてます。
これは物語の展開もそうですが、キャラクターのセリフも1.2倍ぐらいの速度で進んでいることも大きくて、その密度の高さから「まだAパートだった」「Aパートだけで一話分ぐらい見た気がする」と毎週ファンに言われるんですが、こんなに毎回ぎっしり詰まってるのに「台詞が聞き取れなかった」とか「展開がわからない」とかがないんですよ。
台詞は全部聞き取れてるし展開も分かる。一回見ただけで「今週はこういうストーリーで、こういうネタがあって、こういうところが面白かった」と言えてしまうぐらい「描きたいこと(伝えたいこと)」が全部描かれている。
おそらく「一番伝えたいことに一番尺を割く」ということをした上で詰め込んでいるから、「詰め込まれているはずなのに分かりやすい」という現象が起きていると思うのですが、こういう密度の濃さと分かりやすさに着目して見ると気づくものも多いんじゃないかと思います。

最後に

いかがだったでしょうか?
一話を見た時から「『ミュークルドリーミー』は面白い。実家に帰ってきたかのような安心感がある」と言っていた人間としては、この記事で「ちょっと興味が出てきた」と思っていただけたのなら嬉しいです。
そのまま一話を見ると、この作品の魅力がよく分かるんじゃないでしょうか? この安定感がずっと続いている上に、あとから恋愛ドラマの要素が立ち上がってきて、もっと面白くなるんだから最高のアニメですよ。

なおEDはちょっと凄いです。
アニメで放送されている範囲内で既に片鱗は見られますが、二番から転調を使って夢の自由さ加減を演出してくるので、出来ればOPとEDも聞いてみてください。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。