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それは「私を叶え続けていく」ということ『ラブライブ!スーパースター!!』

10月9日に『ラブライブ!スーパースター!!』2nd Seasonが完結いたしました。
「歌えるだけで幸せと語っていた少女とその仲間が『悔しい』と思うまで」で1クール分の物語を使っていたので、2nd Seasonは「さあここからが本当の『ラブライブ!スーパースター!!』の始まりだ!」と期待していたのですが、渋谷かのん達と新入生の登場を踏まえて関係性やキャラクターを描き直すエピソードが多く、成長も含めた面白さが出てたんじゃないかなと思います。ちょっと全員出揃うまで時間がかかったところはありますが、個人的には好きでしたね。
ただ最終話で持ち上がってきたのは「Liella!の夢物語」ではなく「個人の夢の話」というのはちょっと驚きでした。ここでLiella!ではなく、個人の話をしているのはやっぱり「Liella!」から「一つ一つの星=スクールアイドル達」を見てほしいってことなんでしょうね。

私を叶える物語

嵐千砂都が言ってることは突き詰めていえば「自分の夢を生きてほしい」なんですよね。

人前で歌うことが出来なくて、夢を諦めかけていた渋谷かのんを救ったのは「スクールアイドル」で。
そのスクールアイドルと出会わせてくれたのは結ヶ丘女子高等学校」で。
「歌えるだけで幸せ!」と思っていた自分のその先を教えてくれたのはクラスメート達で。
だからLiella!として、結ヶ丘女子高等学校の人間として3年間をスクールアイドルに捧げたい。
そう考えて留学を断ろうとした渋谷かのんの考え方は間違っていません。その夢も尊いものですし、留学を断るだけの価値があると思います。
でも「渋谷かのん」は本当に「今だけ」を見たものでいいのでしょうか?このまま残りの学生生活を捧げていけば、おそらく順当に叶うだろう夢であってもいいのでしょうか?「みんなの渋谷かのん」でいてもいいのでしょうか?
嵐千砂都は「私はそれを望まない」と言います。
それは渋谷かのんを本気で応援しているからでしょう。「世界に歌を響かせたい」と言う夢を真剣に応援していて、渋谷かのんならそれが出来ると思っているから、嵐千砂都は「自分達と別れる事になっても、渋谷かのんには自分の夢を生きてほしい」と言っているのです。
「Liella!の渋谷かのん」でも「結ヶ丘女子高等学校の渋谷かのん」でもなく、渋谷かのん一個人として夢を見てもいい。
この留学はそのチャンスなんだと嵐千砂都は言っているのです。

そのことをよく理解したから渋谷かのんは一度決めたことにも関わらず、悩むことになるのですが……決着としては「らしいもの」だったかなと思います。
ここに来てサブタイトル、及びキャッチコピーである「私を叶える物語」が生きてくるのも良かったですね。

ラブライブ!が重要ではない物語

『ラブライブ!スーパースター!!』2nd Seasonは「もうちょっとワガママに生きても良い(=自分の生き方をしてもいい)」ということを学んでいく物語だったのかなと思います。
一期で渋谷かのん達は大きな挫折をしました。
本気で勝つために練習し、本気で応援してくれた皆のために歌い、そして敗北しました。その敗北により「悔しい!今度こそ勝ちたい!皆の思いに応えたい!」と思ったことが二期開始時点のLiella!を作っているのですが、「皆の思いに応えたい」という思いが強すぎて、特に序盤ほど「自分の学生生活」じゃなくなってるんですよね。
Liella!のため、皆のために行動してしまいがちで「自分のため」と言う意識がその次になっている。二期生もそうで、自分の「やりたい」と言う思いに色々理由をつけて逃げようとしてしまってるんですよね。どこか遠慮してしまっていて、スクールアイドル活動は他の誰の物語でもない「私を叶える物語」であることを見失ってしまっている。
それを一つ一つ解きほぐしていき、「これは貴方の物語だ。だから貴方はもう少しワガママに生きて良いんだ」とする物語が今回の『ラブライブ!スーパースター!!』だと思うんですよ。
そういう話なので、ラブライブ!の決勝大会とか優勝云々っていうのは本当にどうでも良かったんだと思います。そりゃ優勝した方がLiella!も渋谷かのんも後悔なく次にいけるので大事ですが、それは「優勝した」と言う事実だけあればいい。
重要なのは「どんな状況でも、自分の夢を描けるかどうか」。
Liella!が一人一人の夢が輝く満天の星空になれる可能性は、それを学んだ今回で出来上がったんじゃないでしょうか。

ラブライブ!三期へ

でもまさかクリフハンガー形式で3期につなぐ展開になるとは、誰も思ってなかったですよね。しかも3期の告知は配信番組での発表で、本編の中ではなかったのでその点を気に食わない人がいるのも当然だと思います。
ただ個人的には「ここまでが『ラブライブ!スーパースター!』」というプロジェクトの第一段階」だと思っているので、次の第二段階が楽しみなんですよ。本編で差し込まれていた「次代への継承」がようやく芽吹く時が来たみたいで、ワクワクしちゃうんですが、ここに「3期生の公募オーディション」まで入ってきたので最高ですね。面白いことをやってますよ、ホント。

参加資格があって「声優になりたい」って人がいたら受けてほしいですね。「ラブライブ!シリーズが好き!」とか関係なく、間違いなく最高の機会ですから。
「仕事として長期間作品に関わっていく」とか今そんなに多くないですからね。
4クールアニメの本数も減ってるし、抜き撮り(皆集めて一気に撮るのではなく、各声優の担当パートだけ撮るやり方)が増えた結果、新人声優が取れる仕事の数は少なくなってきている。
そんな中で「長く作品に関わっていく(=プロの声優として育ててもらえる)」とか貴重な機会ですから、「声優になりたい」って人は是非受けてほしいですねー。

結びに

「渋谷かのん達が二年生となり、新たに一年生が四人加入する」と聞いた時は「進級もありなら卒業もありでは? そこまでやれたのならLiella!は『世代交代を重ねながら、続いていくスクールアイドル』になるよね」と思っていたのですが、今回の二期はそういう方向性を決定的にするかのような要素が多く、「学生物」「部活物」であることを改めて噛み締めさせる一期だったかなと思います。
また『ラブライブ!』以降に京極尚彦監督と一緒に仕事をした人達の参加も多かったので、そのへんはファンとしては嬉しかったですね。監督クラスがゴロゴロ参加するアニメってちょっと凄いですよ。
3期は二年後とかになりそうですが、楽しみにしています。

といったところで。
『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』から続けてきた半年の「ラブライブ!のお話」も一旦終了です。お疲れ様でした。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。