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誰も知らない『ゲッターロボアーク』が放送されている

石川賢の遺した最後のゲッターロボ『ゲッターロボアーク』のアニメが絶賛放送中です。
アニメ化が発表された時には「令和だぞ!?」と叫ばれ、TVシリーズであることが判明すると「狂った企画だ」と畏れられたアニメ『ゲッターロボアーク』ですが、いざ放送開始したものを見ると本当に『ゲッターロボアーク』で滅茶苦茶楽しんでいます。
楽しんでいるんですが、この『ゲッターロボアーク』、原作と相当違うものですよね……?

描写を追加されている

まず原作から相当描写が追加されています。
これについては三巻しかない原作を全12話のTVシリーズにするためには当然の事だと思っているんですが、追加されている描写の一つ一つが自然なんですよね。「最初からこうだった」と思ってしまうぐらい馴染んでいる。

例えば早乙女研究所のゲッター軍団ですが、大半がオリジナルキャラクターですし、そもそも「ゲッターロボD2が量産化されている」という設定もアニメオリジナルのものとなっています。
また『ゲッターロボアーク』自体が『ゲッターロボ號』の続編に位置する作品であることから『ゲッターロボ號』の一部描写も映像化されていますし、「早乙女研究所の閉鎖区画で、流拓馬達が車弁慶の最後を見る」は確かオリジナル展開だったはず……。

追加された描写があるおかげで、原作よりも物語として盛り上がりますし、『真ゲッターロボ』の謎の昆虫軍団と『ゲッターロボ號』のシベリア戦線を統合して本筋を分かりやすくしている点も上手ですね。

知らないゲッターロボがいる

ただ五話までにアニメオリジナルで追加された要素は、原作の補完や整理、過去の『ゲッターロボ』で描かれている要素を映像化したに過ぎません。
『真ゲッターロボ』や『ゲッターロボ號』は、『ゲッターロボアーク』に直接関係ある作品であるものの映像化していないため、この二作品に由来する要素や描写は、原作になくとも映像化するしかありません。
キャラクターについても、無意味に増やしているわけではなく必要性があって行っている事はこれまでの描写を見れば分かることでしょう。流竜馬の嫁(つまり本作の主人公である流拓馬の母親)の描写とかすごく良かったですしね。

しかしながら六話の最後で登場した「黒い真ゲッターロボ」については理解を超えていました。だって原作に影も形もない新しいゲッターロボが登場してるんですよ!あれはなんなんでしょうか。
「どういうことだ!説明しろ!」と言われても「知らない……原作読者も見た事も聞いたこともない、新しいゲッターロボが暴れてる」としか言いようがない。
「完全新規」とは言わないまでも、七割ぐらい知らないゲッターロボを出してきて「あの『ゲッターロボアーク』のアニメ化なんです!」という顔をしているのは凄すぎる。

ゲッターを理解してしまったのでは?

アニメ『ゲッターロボアーク』を見ていると「川越淳監督は本当にゲッターを理解してしまったのでは……?」という思いを抱かざるを得ません。
本来「メインスタッフが原作を深く理解している」はファンにとっては安心できる要素だと思いますが、『ゲッターロボアーク』もゲッターサーガも「原作者である石川賢先生ですら全貌を把握しきれていない」という作品ですからね。
そんなゲッターサーガを「ひょっとして。理解してしまっているのでは?」と思わせるような映像にしている時点で何かがおかしい。「『ゲッターロボアーク』を、そしてゲッターサーガを俺達の手で終わらせる」という強い意志を感じてしまいます。
あるいはその完結を描こうとする監督達すらもゲッターに導かれている……?

最新話が放送されるたびに「監督は本当に正気でこれを作ってるんだろうか。ゲッターに支配されてない?」と原作読者が思うアニメ化もそんなにないと思うので、このまま最終話まで見届けたいですね。



プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。