ゾンサガ

「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~」を見てきた

2018年は面白いアニメが多い一年だった。
例えば南極を目指す女子高生たちの青春を描いた『宇宙よりも遠い場所』は青春ドラマの傑作であったし、『惑星のさみだれ』で知られる漫画家・水上悟志のネームを元に映像化した『プラネット・ウィズ』は先が読めない展開でワクワクさせつつも少年漫画の王道を征く物語で楽しませてくれた。
振り返ればいくつも「2018年の面白かったアニメ」は思い浮かぶわけだが、その中でも自分が特に気に入っていたのが『ゾンビランド・サガ』だ。
一話を最初に見た時は「なんだこの宮野真守と本渡楓の二人芝居だけで30分持たせることに成功しただけの映像は」と思ったものだが、二話の強引だが全く間違っていないラップバトルへの持っていき方に完全に心を掴まれてしまい、最終話まで本当に楽しい時間を過ごさせていただいた。あと、冷静に考えると『ゾンビランド・サガ』を構成するゾンビ!アイドル!佐賀!の三大要素のうち、ゾンビとアイドルは自分の大好きな要素二つなので気にいるのは当たり前であった。
そんな2018年で最も気に入ったアニメ(キッズアニメを除く)である『ゾンビランド・サガ』のライブイベントが開催される。それもユーザーの声に答えて初イベントなのにちょっと信じられない数の映画館でライブビューイングまで用意されている。
その話を聞いて「行かない」という選択肢を選ぶ奴がどこにおるんじゃい! エイベックスに感謝しながら行くに決まっとるんじゃい!ゴーゴーゴーゴー!!


というわけで。
大阪で田中美海さんが『プリパラ』のステージに立つ光景を見た勢いも加えながら『ゾンビランド・サガ』のライブイベント「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~」のライブビューイングを見に行ったのであった。

まず最初にライブ全体の感想を述べておくと「最高だった。『ゾンビランド・サガ』を見ていた人は見ておいて損がない」といったところになる。
公演時間は二時間ほどなのに『ゾンビランド・サガ』を見ていた人間にとっては体感五分ぐらいに感じられるほど密度が濃く、「始まった!と思ったらもう終わってた」となるほど一瞬で楽しい時間が過ぎ去っていった。
ただライブ自体の演出もセットリストもそこまで奇を衒ったものではない。演出もセットリストも「アニメの完全再現を意識している」けれど、それはもはやアイドルアニメのライブイベントではトレンドを通り越して「当たり前」になりつつある要素なので、そこだけで終わっていたのなら特筆すべきものは何もないなーと思う。
じゃあ何が最高だったかというと『そこまで拾います!?』というぐらい「ネタの拾い方が細かい」。「えっ、そこまで拾うんですか?」「そこまで再現しちゃうんですか!?」というぐらい細かくアニメの展開を拾っているのである。
もう開始直後のカウントダウン映像からして凄かった。
映像そのものはアニメの映像を流用してカウントダウン映像っぽくしているだけなのだが、BGMは一話のデスボイスでヘドバンしている時に使用された「Temptation from the Hell」をそのまま使っているのである。
「徒花ネクロマンシー→自己紹介→目覚めRETURNER」の流れを頭に持ってくると予想していただけに、「一話でやったから観客がこのライブが始まって一番最初に耳にする楽曲にする」というのは攻めてると言うか「そこまでやるか普通!」である。いやもうこの時点で予想を裏切られて「ゲーッ!」となっていたのだが、始まってからも凄かった。
「徒花ネクロマンシー」が終わってから舞台袖から伝説の山田たえの首だけが貼り付けられたデカイビニールボールが登場。観客席に飛んでいった後、本渡楓と田野アサミを中心に据えてやったのが二話の「DEAD or RAP!!!」である。たえの頭が飛んでいく→「ゾンビ隠せよ!!」の流れを再現してまでそれをやるのか! 途中からちゃんと衣川里佳が三味線を持っているのも本当に「このためだけ」である。そこまで再現する意味がわからない。
アツクナレ→目覚めRETURNERは七話の再現。七話の再現なので、アニメでの落雷を受けてテクノボイスになる演出を踏まえて、ステージに立つ演者の声もテクノボイスに。『ゾンビランド・サガ』的には正しいのだが、またしても「そこまでやるのか」である。
サプライズは新旧のアイアンフリル。アイアンフリルはアニメでも登場しているものの、そのパフォーマンスについてはフルで描かれているわけではないので、ほぼ全て今回のためだけに制作されたものなので気合の入りっぷりがよく分かる。
アイアンフリルが終わった後はリリィセンター曲の「To My Dearest」とサキセンター曲の「特攻DANCE」。
「To My Dearest」はミュージカル的な要素が含まれているので難しいかと思いきや見事に歌い上げる田中美海に驚かされる。この人、前日は大阪にいて『プリパラ』のライブを昼夜二公演やってるんですよ。前週はWUGファイナルにいたはずなんですよ。場数だけならおそらくフランシュシュでもトップ(その分忙しい人)なんですけど、何でこの人ここまで高いパフォーマンスが出来るんですかね……。意味がわからない。
「特攻DANCE」はおそらく今回のライブで一番分かりやすく一番盛り上がったのではないかと思う。
昼公演で言及されていたように本来はサキだけ用意されていた特攻服が全員分用意されたことで再現度が増していて、本当に楽しかった。「流石に体力的に厳しいので大人しくしていよう」という気持ちが吹き飛んでしまって翌日死にかけた。
「ヨミガエレ」はおそらく昼と夜とでは大きく演出が違う曲。昼公演は普通に行われていたのだが、夜公演では12話を再現する形へ変更。立ち上がって歌い出すフランシュシュの姿に12話が重なる。
「光へ」で一旦締めて、12話のエピローグを引用してのアンコール楽曲「FLAGをはためかせろ」。
この辺はもう語彙力なくなりそうなぐらい最高だったので、映像で見てください(円盤発売済み)

「ド新人ばかりのアイアンフリルにフリートークをさせて、衣装チェンジ分の時間稼ぎ(当然、内容が全く記憶に残らないレベルの薄いトークになる)」とかアレな部分は本当にアレであったが、元々は「最初で最後の記念イベント」として企画されていたものが作品の予想外のヒットによってこういう形に変更されたと思うので至らない点があるのは仕方がないことだし、そこは次回改良されていればそれでいいかなと思う。故郷である佐賀への凱旋ライブも決まったわけですし。
本来ならこれで終わりだっただろうものが、ファンの声によって二度目が与えられるというのは『ゾンビランド・サガ』らしくて面白い限り。次回もまた見れたらなーと思う次第である(なお友人は『佐賀にでかい箱なんかねぇよ!』と突っ込んでたが)。

追伸。
今回のMVPだが、基本的に全員良かったのだが、今回特に良かった人ということなら田野アサミだろうか。
とにかく周囲をよく見て場を動かしていたし、自身のセンター曲だときちんと盛り上げてきたので本当に良かった。
種田梨沙と田中美海はキャラ的にも本人的にもプロだった……。
なお天津向。
本渡ちゃん、こういう時は向さんを弄らなくてもいいんやで……。
それとこれは余談だが、今回のライブ前のCMで『キラッとプリ☆チャン』が流れた時点で徳井青空の出演は察するべきだった気もしている。プリチャン二年目から登場するライバルユニットとして出演予定なので。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。