見出し画像

『ラブライブ!スーパースター!!』2nd Season11話が、なぜ一波乱どころではない展開になったのか

『ラブライブ!スーパースター!!』2nd Season11話が放送されました。
「勝敗は来週!」という強烈な引きを作った前話からようやく一週間が経過し、見ることが出来た11話は予想通りの結果と、予想してなかった展開が待っていて、最終話に至るまで予定調和だけでは終わらせないスタッフの意地のようなものが見える凄い回でした。
まさか1st Seasonも全部含めた「一応の最終回」みたいなものに届きそうな展開を見せてくれるとは思ってなかったですよ!

なぜかのんとウィーンは異なる存在になったのか

今回のエピソードで渋谷かのんとウィーン・マルガレーテは「高校に進学するまでは」似たような経歴の持ち主であったことが語られました。
それは渋谷かのんもウィーン・マルガレーテも、「歌が大好きで、歌で皆を笑顔にしたくて、でも受験失敗にして、夢からも見放されそうな想いをした」という点では同じ存在であるという事を意味するのですが、しかしながら現在の渋谷かのんとウィーン・マルガレーテは全く異なる道を歩んでいる。同じように「スクールアイドル」に巡り合っているのに二人は全く違う存在になっている。
なぜ同じような経歴の持ち主なのに、渋谷かのんとウィーン・マルガレーテの今現在が異なる存在となっているのでしょうか。
答えは簡単ですね。
渋谷かのんには「仲間」がいて、ウィーン・マルガレーテには「仲間」がいなかった。それ以上でもそれ以下でもない。本当にただそれだけのことなんだと思います。
仲間がいたから渋谷かのんは「あの時の辛い思いも、あの日の悲しみも全部今の私を作るために必要だったんだ」と肯定できるようになった。スクールアイドルと出会えたから、歌えないどうしようもない自分を「変えたい」と思えるようになったんですよね。
ウィーン・マルガレーテには仲間がいなかった。スクールアイドルになっても彼女はたった一人であることを選び、過去の失敗にこだわってしまった。
この違いが現れたのが東京大会だったのでしょう。
スクールアイドルを愛する者たちが選んだLiella!は「スクールアイドルと出会わなければ生まれ得なかった者」。
だから彼女達を「もっと見たい」「次の場所で見たい」と思ったんじゃないでしょうか。

なぜウィーンの両親はかのんに教えてもらえといったのか

またウィーン・マルガレーテの両親が「ラブライブ!で結果を出せたら音楽学校に推薦してもいい」「渋谷かのんが音楽学校に行くというのなら、一緒についてきてもいい。渋谷かのんに教えてもらえ」と言っていたのも興味深かったです。
これは「ウィーン・マルガレーテは音楽学校が求める『何か』が欠けており、渋谷かのんはその『何か』を持っているから貴方はそれを教えてもらいなさい」ということだと思うのですが、そう捉えると「ラブライブ!で結果を出せば」という点もまた別の話になってくると思うのです。
おそらくですが、ウィーンの両親はウィーン・マルガレーテにラブライブ!とスクールアイドルを通じて、自分で学んでほしかったんじゃないでしょうか?
それは一緒に同じ目的に向かう仲間の尊さかもしれないし、歌への純粋な思いかもしれない。もっと基本的な「転んでも、もう一度立ち上がること」かもしれない。
その辺りは分かりませんが、少なくともウィーンの両親はスクールアイドルにウィーンが学ぶべきを見出していないと「ラブライブ!に出ること」と「渋谷かのんから学びなさい」は両立しないと思うんですよね。

まあウィーン・マルガレーテが両親の思惑どおりに学んでくれなかったから、こういうことになってるんですが……。今のままだと絶対学ばないんですよね、ウィーン・マルガレーテ。

なぜ嵐千砂都がああいう行動をとったのか

とまあ、ウィーン・マルガレーテの話が中心となった11話でしたが、やっぱり一番大事なのは嵐千砂都かなと思います。
「私が目指したい場所は、ここにいる皆で目指すものなんだ」という理由で舞い込んできた音楽学校からのお誘いを断った渋谷かのんと真っ向から対立する嵐千砂都の「私は音楽学校に行ってほしい」発言。
なぜ嵐千砂都が渋谷かのんの決断を聞いた上で、あえてそういう発言をしたのかというと、やっぱり『嵐千砂都にとっての渋谷かのん』は「自分の歌を世界に響かせたい」と純粋に夢を見ていた頃にいるからだと思うんですよ。
あの頃の渋谷かのんに憧れ、その夢を誰よりも応援しているからこそ、「その夢を叶えるために確実に成長できる機会を無駄にしてほしくない」。
まあ「渋谷かのんが自分のために下した決断には、本人の知らないところでウィーン・マルガレーテの人生もかかっている」という事を知ってるのもあるんでしょうが、一番大きな点はそこだと思います。
そして嵐千砂都って一期の頃からそういうところがあるんですよね。「渋谷かのんにとって一番良い事を、本人以上に望んでしまう」というか。「かのんが輝くためなら、自分は何でもする」という強い意思がある。
「大会に勝てなかったら退学する」とかもそうですけど、嵐千砂都はちょっと怖くなるほど覚悟が決まっていて、目標に向かって走ることを決めた人には自分を含めて決して妥協を許さない。
味方にすれば頼もしいキャラクターなんですけどね……。
まさかここにきて『それは他人を理由にした逃げでは?(=自分のために決めた?)』と突きつけてくるキャラクターになるとは……。

結びに

今回は絵コンテを菱田正和さんが担当していた点も見逃せなかったです。
菱田監督は京極尚彦監督の師匠で、『ラブライブ!』二期12話も担当されてますが、まさかここに来て師匠の登板があるとは思ってませんでしたね。
しかも話的にはシーン単位でキャラクターの気持ちに寄り添う必要があるお話! 菱田監督らしい寄り添い方になっていて、良かったと思います。

さて、次はいよいよ最終話ですね。
嵐千砂都の言葉を受けて、渋谷かのんはどうするんでしょうか。そしてラブライブ!出場は?
思いがけない方向に物語が転がりだしましたが、最終話まで見るしかないですね。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。