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『ウマ娘プリティーダービー season3』五話:ドゥラメンテ、喋る

『ウマ娘プリティーダービー』3rd seasonの五話を見た。今週も素晴らしい一話だった。
サトノダイヤモンドがマカヒキおじさん、もといツウカアおじさんに負ける下りに「運命が勝たせてくれない」という意味合いを滲ませていたかと思いきや、「隙あらばギャグを入れてくる」とスタッフにも言われている及川監督らしいクスリと来る描写が詰め込まれていて、あっという間に一話が終わっていた。
まるでスプリントレースのようだったが、今回の五話で何がよかったかといえばドゥラメンテが喋ったことだ。
ここまで放送された四話分では全く喋らなかったドゥラメンテ。
行間では喋っている描写はされていたのに、実際の映像では喋る描写が一切されていなかったドゥラメンテ。
『TOKYO 7th シスターズ』や『電音部』も見ている人間には「あれは凄いよ。歌もダンスも」と言われる秋奈が声優をやってることぐらいしか分からず、キャラが見えてこなかったドゥラメンテ。
そんなドゥラメンテがついに喋ったのだ。五話で。
まあ今回描かれた2016年宝塚記念が史実では最後のレースなので、ここで喋らなかったらいつ喋るんだという話でもあるのだが、ここまでドゥラメンテを喋らせなかったのは、おそらく「キタサンブラックから見たドゥラメンテのイメージ」を守り続ける必要があったからだろう。
キタサンブラックにとってのドゥラメンテを一言で表すのなら、「真正面から自分の夢を二度も打ち砕いた『怪物』」だ。
皐月賞と日本ダービー。
ドゥラメンテはその二つのG1レースで、キタサンブラックの「トウカイテイオーみたいになりたい」という夢を打ち砕き、「お前はトウカイテイオーのようにはなれない」という現実を突きつけた。
その結果、キタサンブラックは「ドゥラメンテは菊花賞に出られない」と聞いて喜ぶ自分を嫌悪したり、ナイスネイチャと出会ったりして紆余曲折の末に菊花賞勝利をスタート地点にする二話に繋がるのだが、これらのエピソードはドゥラメンテが「怪物である」ということが強い印象に残っているからこそ成立する物語だ。
ドゥラメンテが言葉を発し、「キャラクターである」と認識されてしまうと、この辺りのエピソードは「キタサンブラックVSドゥラメンテ」というライバル対決の物語の色を帯びてしまう。
それはそれで見てみたい気持ちが私にもないわけではない。しかし『season 3』はあくまでキタサンブラックの物語として構成されている以上、少なくともユーザーには「ドゥラメンテは怪物。得体のしれない存在」であり続けてもらった方がキタサンブラックに集中しやすい。
ではなぜ五話で喋らせたのかというと、それは「二人はライバルである」という関係性を構築したかったからだろう。
ドゥラメンテの怪物性に恐れなくてもいい。
怪物に負けない心と、キタサンブラックという存在の爪痕を残せる力を持つ存在になったからこそ、ドゥラメンテは喋って「怪物」から「ウマ娘」となり、宝塚記念でキタサンブラックと戦うのだ。
まあ結果は二着ドゥラメンテ三着キタサンブラックなんですけどね。
マリアライト、じゃなかったリバーライトが一着で喜んでる中で、キタサンブラックとドゥラメンテが「お前はライバルだ」と認め合ってるのはシチュエーションコントみたいで、ちょっと面白かったです。

プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。