『ウルトラマンブレーザー』が終わった。光の蛮族は喋れた。

『ウルトラマンブレーザー』が終わった。
内容については概ね良かったんじゃないかと思う。
少なくとも「人類と未知の存在が出会い、様々な局面で行動を共にすることで少しづつ理解していく」という点は上手く描けていて、一度聞くと忘れられない奇声と必殺技のスパイラルバレードすらも面白おかしく使ってしまう奇行が特徴的なウルトラマンブレーザーが今作の防衛隊である特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD」から信頼されていき、協力して怪獣出現事案に立ち向かっていく物語は毎週欠かさず見てしまうぐらいには面白かった。
序盤ではすぐに奇行に走るウルトラマンブレーザーを警戒していたのに、終盤では「きっと何かあるんだろう」という雰囲気に落ち着いていたのを見て、「私と未知の存在が歩み寄りを見せる物語」としてエピソードを積むことの大切さと、最終話を迎えた事で「一旦終わり」ということに寂しさを噛み締めさせる。
もう少し見ていたかった。でももう少し見ていたら、「オレモイク」と初めて地球の言葉を喋って共に戦う意思を見せたり、妻子持ちの主人公が着けていた結婚指輪と息子からもらったブレスレットから力をもらっているかの演出で初めて光線技を放つウルトラマンブレーザーの姿がまだ先になっていただろうし、これぐらいで良かったのかも知れない。寂しいけど。

その他の物語の面では「私と未知の存在が歩み寄りを見せる物語」が、同じ地球人にも適用されていた点も興味深かった。
本作に登場するキャラクターはどれもこれも一筋縄ではいかない。
最初は敵か味方か分からないキャラクターでも、物語が進んで情報が出揃ってくると「どうも味方らしい」「少なくとも彼の視点においては何も間違ったことはしていない」という印象になっていく。主人公の仲間だって思いがけない方向の面白さを見せるキャラがいたし、そうした部分が本作の視聴体験を豊かにしていたのだが、その辺りが顕著だったのはやはり最終話付近での寺田農演じるドバシ・ユウだろう。
主人公が率いる部隊の諜報部員であり、父親の死の真相を探るアオベ・エミを度々妨害し、娘に残した手記すらも無理矢理奪い取るなど「敵か味方か」で言えば「敵寄り」の動きを見せてきたドバシだが、最終話では彼も彼なりに地球を護るために行動し、だからこそ現状が生まれてしまっていることが判明する。妨害していたのもエミの父親の死が判明すると、これからの地球防衛策において都合が悪い、つまり大局的に見れば主人公達と同じ目的を持つ味方で、個人レベルで見れば妨害しているようにしか見えない敵……というキャラクターだったのだ。
そうした存在を物語の最後に持ってきたのは面白かったし、彼を徹底的な悪ではなく「今なら変えられる」と未来を変えられる存在としていたのも良かったと思っている。まあこういう話にしたので、主人公達の部隊のメカであるアースガロンがせっかく怪獣型ロボットだったのに勝ち星をつけられなかったというのはあるのだが、シナリオ的には問題なかったので良しとしたい。石田彰もよかったし。
惜しむらくは最後の最後までウルトラマンブレーザーが何者だったのかは分からなかったことだろうか。どこ出身?何食べる?光の国って知ってる?
彼のことは全くわからないし、なぜアレでパワーアップできたのかも不明なのだが、映画が控えているのでこちらで少しでも明かされる事を期待したい。
本当になんなんだあの光の蛮族……。



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