「ここまで」と「これから」を華やかに飾った『ウマ娘 4th EVENT 東京公演』
アプリ1stアニバーサリーの歓喜と興奮が少し落ち着きを見せ始めた中、『ウマ娘プリティーダービー』の4thライブイベント「SPECIAL DREAMER!!」が開催されました。
アプリのリリース一周年直後の開催ということで、感染症予防対策の観点からライブビューイングこそなくなったものの、一つのお祭りのようなライブイベントに仕上がっていましたね。
まさしくこの一年の最後を締めくくるに相応しく、同時に二年目の最初の一ページを飾るに相応しいイベントであり、「ここまでのウマ娘」と「これからのウマ娘」を二日間で見せてくれたんじゃないでしょうか。
ここまでの歩みを総括する一日目
東京一日目を一言で表現するのなら、私は「ここまでのウマ娘」と表現することでしょう。
『ウマ娘』と言うコンテンツが残した足跡を改めて振り返るためのライブ。それが東京一日目だったと思うのです。
一周年記念楽曲「We are DREAMERS!!」から始まったライブはマチカネフクキタルやメジロドーベルなどのソロ曲を散りばめつつも、ゲームでも聞くことができる楽曲が非常に多かった。
その中でも夏に実装された「アオハル杯」の楽曲だった「WINnin' 5 -ウイニング☆ファイヴ-」、周年と同時に実装された「トウィンクルスタークライマックス」のテーマ曲である「BLOW my GALE」は序盤と中盤の要のような箇所で披露で、「ここできたか」と唸らされました。
また「GIRLS' LEGEND U」を「今回初めてライブに参加する」というキャストに当てた楽曲にしたり、原曲ではサイレンススズカとアグネスタキオンの楽曲だった「transforming」を縁が深いサイレンススズカとマチカネフクキタルの楽曲として扱うなど「曲をこう解釈するか」という驚きもある。
個人的には「ユメヲカケル!」をアニメ二期の再現を前半で見せておいて、途中からマチカネタンホイザやウイニングチケットを登場させて「93年有馬記念の楽曲」にしてきた点が印象深かったです。
後述しますが、「途中から別の人が加わることで、この楽曲をこのメンバーでやってることの意味合いが変わる」は今回多かったんですが、その中でも特に好きなものの一つですね。
一日目で特に凄かったのはマチカネフクキタルでしょうか。
とにかく滅茶苦茶歌ってるんですよね。ハイテンポなソロ曲もあるのに、センターをやってる楽曲もあるし、箸休め的に挿入されていた木魚ライブでも彼女の出番はある。全体の3割ぐらいは歌ってたはずなので、お疲れさまでした……としか言えないです。
その木魚ライブですが、会場を巻き込んだクイズをやるトーセンジョーダンとゴールドシップ→途中で木魚に愛をぶつけだすゴールドシップ→ライブの流れだったんですけど、突然木魚ライブを始めたゴールドシップを「何を見せられてるのか」「正気かこの光景」という顔で見ているトーセンジョーダンが的確にカメラが捉えていて、滅茶苦茶面白かったです。
木魚ライブだけでなく「木魚ライブを突然見せられた側」も含めてよかったですね。
これからを象徴する二日目
では二日目はというと「これからのウマ娘」という印象を受けました。
キタサンブラックとサトノダイヤモンドが中央に置かれていて、それをトウカイテイオー達を始めとする先輩が支える。それはゲーム『ウマ娘』のキービジュアルのようでも、一周年を記念して制作されたアニメのようでもあり、「キタサンブラックとサトノダイヤモンドを二年目の象徴的な存在にしていきたい」というスタッフの意気込みが感じられる演出の組み方だったかなと思います。
またこの辺りを意識していたのか血統など「時代」「世代」を感じさせる展開が多かったですね。
トウカイテイオーの「winning the soul」にシンボリルドルフが参加するとか、マルゼンスキーを応援するサクラチヨノオーやスペシャルウィークとかもそうですし、黄金世代の「ぴょいっと♪はれるや!」もありましたし、それをまとめ上げるのがキタサンブラック&サトノダイヤモンドの「Ambitious World」というのも良い流れだったんじゃないでしょうか。少なくとも私は結構好きな流れで、前半部分の流れを上手く引き込みつつ、次代の輝きを感じさせる展開だったと思っています。
その流れで言えば「木漏れ日のエール」は驚きましたね。
「メジロマックイーンがいないので流石にないかな」と思っていたら、まさかトウカイテイオーとナイスネイチャで歌うとは予想すらしてませんでした。
トウカイテイオーとメジロマックイーンが交わした「再戦」という夢。その夢と共にどこまでも走り続ける。
そういう歌だった「木漏れ日のエール」ですが、トウカイテイオーとナイスネイチャだと「そういう歌」じゃないんですよね。
貴女が走り続けるから私も走り続ける。「夢と一緒なら」ではなく「君と一緒なら」の「木漏れ日のエール」なんです。
だからそこにサトノダイヤモンドとキタサンブラックが後から出てくるのも納得で、「君と一緒に走り続けたい」ならサトノダイヤモンドやキタサンブラックもそうでしょうと。
歌ってる人が変わるだけでここまで曲の解釈が変わるのは、このコンテンツならではの要素だと思うんですよね。
そういう意味では、二日目のサイレンススズカと「砂のサイレンススズカ」と称されたスマートファルコンだった「transforming」とかメインストーリーを踏まえると意味深でいいですね。
全体の演出について
全体の演出についてなんですが、今回も配信だとARを用いたライブ演出が行われていてよかったと思います。
一日目は透過処理が上手く行ってなかったところもあったんですが、二日目には改善されていましたし、マチカネフクキタルのソロ曲とか「この演出も込みで見たいもの」になっていたので凄く良かったですね。
またバックダンサーを全体的に多く使用したライブだったと思うのですが、この辺りはおそらく一番多く見られているゲームの方に寄せた演出だと思うと納得できるところかなと思います。
いわゆるモブウマ娘のことですが、これが「ウマ娘らしい演出の一つ」としてファンが認識できるのは「一年」と言う長い戦いを勝ち抜いてきたコンテンツだからこそでしょう。
恒例となっている実況・解説ですが、今回は解説も含めて「このキャラにはこのキャラが応援するだけの理由がある」という文脈があって楽しかったですし、乙名史記者が登場しての取材など作中再現的な要素もあってよかったですね。
結びに
『ウマ娘』のライブイベントって、ハイコンテクストな面白さがあるライブだと思うんですよ。
普通に見ていても面白いし楽しいんですが、日本競馬の歴史や競走馬について勉強すればするほど「このキャラにこれを歌わせる」ということに様々な文脈を見出すことができる。
例えばオグリキャップとシンボリルドルフとグラスワンダーなら「有馬記念に勝ってる競走馬か」とか、前述したマルゼンスキーとサクラチヨノオー・スペシャルウィークなら「親子共演ですね」とか。
そこで歌うのは誰でもいいわけじゃなくて何らかの文脈がある。
それは史実に由来するものかもしれないし、ウマ娘と言うコンテンツの中に存在しているものかも知れない。そういうものは一切説明されないんですが、「分かる人には分かる」。
そういう「分かる人には分かる」が『ウマ娘』の面白いところですし、その面白さをライブイベントでも根幹を成す要素として大事にしているところが面白いと思うのです。
今回も全体的には「一周年記念ライブ」といった趣きが強かったですし、そういった部分の面白さがしっかりとあって、素晴らしいライブだったと思います。
「ライブイベントで歌うこと自体が初めて」という人もいたので歌詞を間違えていた部分もありましたが、トウカイテイオー役のMachicoさんが最後の挨拶で言っていたように「一生懸命やった結果」ですし、それ以上に良いものが見れたのならそれでいいんじゃないかなと思います。
11月に追加公演も決まりましたしね。また一年間ライブイベントでも楽しめそうですね。
ところで二日目最後の「キタサト揃えてくださいね」は反則ではなかろうか。出演者にガチャ煽りされると止まれない人もいるんですよ!
プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。