初期凛世コミュを変わらない話と変わる話で解釈する関連
△注意!△
○絶対的正しい解釈を目指すものではありません。 主観的な解釈と体験に依存した記事になります。
○この記事は以下のカードのネタバレを含みます!
・杜野凛世共通コミュWING、GRAD
・杜野凛世プロデュースカード
『想いいろは』 『微熱風鈴』
『水色感情』『杜野凛世の印象派』
・杜野凛世サポートカード
『ふれんど日和』『をとめ大学』
※限定カードは除外しました
・イベントコミュ
『ロング・ログ・エンドロール』
『アンカーボルトソング』
○まえがき
アイドルマスターシャイニーカラーズに登場する杜野凛世のコミュを「一つの言説である程度説明が可能なんじゃないか!?」とそう思ってしまった時期が僕にもありました。 それはシーズの初イベントシナリオ、七草にちかの初の限定Pカードが実装された頃。 ちょうど僕がシャニマスを始めて約一年間くらい経った初夏だったと記憶しています。
○①変わらない関連②変わる関連
当時思い浮かべていたのは
「凛世のコミュは相反する2つ要素でシナリオを作っていく手法を取っている」という説です。
相反する要素達を一人のキャラクターの中に同居させる事で矛盾を抱えつつも深みのある人間像を成しているのではないか?という考えの上でコミュを読んでいきます。
相反する2つの要素として当時想定していたのが以下の二つです。
①“好意の永遠性の話”
②“未知の世界へ歩む話”
対比としてより分かりやすく表現するならば
①が変わらない事”
②が“変わっていく事”です。
2022年夏越境コミュ『ロング・ログ・エンドロール』で言うところの“とことわ”“かなえ”と①②は概念として相似形とも考えられます。
○WINGにおける①と②
プロデューサーと出会った直後、
①“好意の永遠性(変わらない事)”しか持ってなかった凛世が……
WING優勝に至る過程のアイドル活動を通じて“②世界に触れる喜び(変わっていく事)”も手に入れるという話で、「WING優勝後もアイドル活動を通じて変わっていく事をしつつも、プロデューサーと凛世の関係は凛世の変わらぬ想いと共にこれからも続くのです」というのがこの説なりの理解となります。
○P・Sカード別の①と②の扱い
①“好意の永遠性(変わらない事)”
②“世界に触れる喜び(変わっていく事)”
①②いずれかがテーマになっていると読み解けるカードがあるのでこれも紹介していきます。
傾向としては①はプロデュースカードに②はサポートカードに多いイメージです。
①好意の永遠性関連(変わらない話)
この関連の話は基本的に凛世にとって恋愛的好意の対象であるプロデューサーとの交流の中で描かれるる事が多いです。「好意の永遠性の話をしてるな〜」と感じたコミュはいくつかあり、中でもわかりやすいのが以下のコミュで、好意の永遠性や変わらない事を肯定する性質があります。
・『想いいろは』内コミュ「思いぬれど」
Pと凛世間のコントのような楽しいディスコミュニケーションが楽しめるコミュです。凛世が漫画の台詞を引用してる体裁で「永遠に添い遂げたいのです」という凛世の本音ともとれる(この記事の説の上での)本質情報が確認できます。
・『微熱風鈴』内コミュ「とことはに」
コミュのタイトル「とことは」をググると
と説明されています。
「とこと・わ(は)」は2022年夏越境コミュ『ロング・ログ・エンドロール』でも印象的に使われたので2022年のシャニマスをやってた人からすると馴染みのある言葉かもしれません。プロデューサーと凛世がある夏に桔梗の描かれた風鈴を買った思い出を振り返り色々思う話です。
「桔梗……花言葉は……久遠の愛……」とコミュタイトルのテーマを補強しつつ、風鈴の硝子は千年、万年の時かけてゆっくり流れていると説明してくれる事で“変わらない事”と“ゆっくり変化していく事”を同時に肯定する話だと思っていて、この時点の凛世コミュとして隙がなくて本当に美しいなと思います。
・ 『水色感情』内コミュ A2恋は何色(R.Morino)
Pが凛世にレコード視聴を体験しよう!と提案し、凛世が初めて自分の手でレコードを再生する過程でいろいろと思う話です。 プロデューサーとの交流の上で「ふふ、粋ね…凛世…」と言いたくなるよう江戸っ子アイテムが登場し、凛世がそれをダシに永遠について想いをはせるという意味では微熱風鈴と構造が似ています。
ちなみにこのコミュは次で書こうと思っている②の要素の性質も含んでいるのでこのまま②の話をしたいと思います。
②未知の世界関連(変わっていく話)
Pや放クラメンバー達となんらかの初体験をする事で凛世の中の世界が広くなり、人間性を獲得する関連の話です。 ②のテーマを扱っているように思うカード・コミュはおおよそ以下の様なもので、新しい世界に触れる新鮮な喜びに溢れ、変わりゆく事を肯定する性質があります。
一般的にありふれた経験でも由緒正しい呉服屋の箱入り娘だった凛世にとって初のチャレンジとなる経験は多いようです。こういった話はリリース開始時のコミュから現在に至るまで定期的に実装され、特にサポートカードとの相性がいい様に思います。
ちなみに放クラ内では夏葉もお嬢様的性質があるので、庶民的な経験が少ないという意味では凛世と夏葉は似たところがあるのが面白いです。
○あとがき
個人的に①“好意の永遠性(変わらない事)”のような話がとても好きなので、この要素を肯定して説を推していきたかったのですが自信を持って①関連だと思えるコミュは限られていたり、
凛世GRADの少女α、少女βに①と②を当てはめられそうで当てはめきれない部分があったり(凛世のGRADはかなり好きなのですが、凛世の感情が絡む話なのでより解釈が難しいと思います)、凛世コミュ全体を見渡せばこの説の枠内ではとても説明がつかないコミュの方がむしろ多く、説を立ち上げた当初思っていたような「一つの言説である程度説明が可能なんじゃないか〜!?」という過去の自分の説に対しては「それは過言じゃないか〜!?」「でも君は見どころがあるよ」と今、振り返ると思います。
今回とはまた別の切り口ででまとめられそうなシャニマスのコミュもあるので、気が向いたらそっちもまとめるかもしれません。
【おまけ】近年のイベントコミュでの①と②
実は凛世のコミュに限らず①と②と相似形のモチーフは沢山あるのですが、中でも近年イベントコミュを駆け足で紹介したいです。
・『ロング・ログ・エンドロール(2022)』
変わらないものの吉兆を占う『とことわ』
変わるものの吉兆を占う『かなえ』
という概念が登場し、ここでは前項で提唱した①と②と対応して考える事を試みます。
①好意の永遠性(変わらない事)≒『とことわ』
②未知の世界へ歩む話(変わる事)≒『かなえ』
といった形になります。
プロデューサーとアイドルは「①とことわ」か「②かなえ」の二択の選択が迫られるのですが、全員が「②かなえ」を選択し、前項で説明した説と扱うモチーフは相似形でも、結論が若干違うものになっていきます。
前項の説では「①と②両方いいよね」で
ロング・ログ・エンドロールでは「①と②両方あるけど、選ぶとしたら迷いなく②であって、①は選べないんだ」という話になり、本記事の説と矛盾してしまう形になります。
・『アンカーボルトソング(2021)』
前章で登場した「①とことわ」「②かなえ」で当てはめて考えると
「過去(思い出)のアルスト」が①とことわ
「現在、未来のアルスト」が②かなえ
という事でここでも読んでいきます。
ソロ活動が多くなり、以前のように3人でユニット活動する機会が減り、変わりゆくアルストの状況を寂しく思うファンやアルスト(特に舐花ちゃん)の深層にある①とことわ的気持ちを「匂わせ」を通じて肯定していこうとする話や、長期工事中のビルにアルストの状況を重ねて②かなえ的気持ちを肯定する話などを読み取れます。
傾向としては近年に近づくほど、
①とことわと②がかなえが要素として存在する場合
より②かなえを押し出す印象があります。
これはシャニマスの過去が積み上がることで、過去が①とことわ化し、②かなえの難易度が上がっていく事に起因するのかもしれません。
○真のあとがき
「解釈とは絶対的なモノではなく僕の解釈は僕にとって面白い解釈すればいい」というのが最近の僕のスタンスなのですが
説を立ち上げた時は「シャニマスには絶対的に正しい解釈があるはずだ。正しい解釈をしたい」という受験現代文的な想いが強かったんですよね。
勿論シナリオライター側に表現意図はあるのでそれを汲み取る事は大事なのですが、そもそもシャニマスは色んなテーマを扱ってるし、同じコミュを読んだとしても、それをキッカケとして内面で活性化する部分は触れた人の各々で違うはずで、人の経験の数だけ無限の解釈があるはずなので、出来る範囲でそれを尊重して色んな見方を出来た方が楽しいよなと思うようになりました。
この変化は一人で好き勝手にシャニマスをやっている状態では発生しなかったのですが、「友人やインターネットの人のシャニマス感は必ずしも自分と同じではない」という現象に対して自分の中で折り合いをつける為に自然発生した生存バイアス的な変化のような気がします。
一人でシャニマスをプレイしてた時は自分と世界(他者)の区別がついてなかったのかもしれません。
とどのつまりは「僕にとってはこう読めるよ!」という自分にとっての解像を構造的にまとめただけの記事なので、僕以外の人にとってどう意味があるのかは分からないのが正直なところです。
(最終的に「そりゃそうだね」という話になってしまった…)
つらつら…と思うまま書いてみましたが 手前味噌ですが楽しんでいただける所がありましたら幸いです。それは本当に有難い事です。