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ベンチャーはプロセスエコノミーそのものだ

プロセスエコノミーとは、「プロセスを共有するところがお金を稼ぐメインとなる」という新しい価値観である。「物が溢れている時代には、機能だけでは商品の差別化が難しい」という現代特有の問題を出発点としている。
この言葉はけんすう氏が提唱し、さらにIT批評家の尾原和啓氏が書籍を執筆したことで有名になった。

プロセスエコノミーの意味はわかったが、どうすれば実践できるのか?という疑問が出てくるだろうと思う。

ベンチャーはプロセスエコノミーそのものだと思う。資金を集め、人を集め、製品を作り、顧客を掴む。一つ一つのプロセスは、物語として体を成していく。プロセスはプロセスで構成され、物語は物語を呼ぶ。

最も有名な物語はAppleの創業ストーリーだろう。スティーブ・ジョブズがスティーブ・ウォズニアックと出会い、コンピューターで会社を大きくして、会社を追われ、また復活する。Microsoftのビルゲイツ氏との確執も物語を盛り上げる要素だ。こんなに役者が揃っている創業ストーリーも珍しい。

日本の有名なベンチャー企業(あるいは、かつてベンチャーだった企業)も味わいのあるストーリーを持っていることが多い。トヨタ、ホンダ、ソフトバンク、ファーストリテイリング。

海外の事例で言えばイーロン・マスクの起業家としての半生は物語として傑作だ。

ベンチャーにおけるプロセスエコノミーは、単にその物語が書籍として出版されてベストセラーになるという話ではない。資金を集め、人を集め、製品を作り、顧客を掴む。その一つ一つにおいて物語が資源となって成果が生み出されていく。資金を集める時は投資や融資の担当者に対して物語り、人を集める時には理念を物語り、製品を作るときは社員に対して顧客体験を物語り、顧客を掴むときは顧客に対して顧客体験を物語る。

ビジネスにおいて物語るときの重要なことは、根拠を集めて仮説を立てて実践することにある。この点において理系の研究と似ているが、理系の研究との違いは、自然科学的な事象を相手にするのではなく経済的な事象を相手にしているということだ。

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