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てぃくる 898 待ちぼうけ

「だあれも来ぃひんな」
「暇や」

(クサイチゴ)

「ところで」
「なんや」

「俺ら、誰ぇ待っとんのや?」
「さあ、誰やったかな。忘れたわ」

「それでええのんか?」
「ええんちゃうか。わかっててん、呼ぶことぉできひん」

「スマホ、持ってないし」
「相手のアドレスも知らんし」

「まあ、ええわ。ええ天気やから」
「せやな。ごっつ眠いわ。ふわわわわ」


◇ ◇ ◇


 咲いて散り、咲いて散り。
 草苺の白い花は一斉に咲き誇るのではなく、ぱらぱら明滅する。

 草むらから顔だけを出していた二輪。
 待ち人は来るだろうか。来ただろうか。
 少なくとも、私は彼らの待ち人ではない。

 まあ、いい。二人はこのあとすぐに散る。
 待ち人が来たか、待ちぼうけで終わったかは、赤い果実が実るかどうかでわかるのだろう。


約束はなし長閑なベンチでゴドーを待つ

(2022-04-18)

Waiting For Godot Part Zed by Roy Harper

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