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てぃくる 387 逃げる桃

 世界中のものが、地球を自在にぐるぐる巡る時代になりました。わたしたちが普段意識せずに、食べ、着て、使っているものの多くが、日本国内ではなく海外で生産されていること。それを、あまり意識しなくなったように思います。
 園芸の世界はその最たるもので、日本国内で育種されているものでも起源は大半が海外。いかにがりがりの国粋主義者であっても、日本固有のもので庭を飾ろうとすればギブアップせざるを得ないのが現代園芸の世界ですね。

 美の世界は洋の東西を問わず。いいものはいいんだから、起源をごちゃごちゃ考えずに楽しめばいいじゃん。その通りなんですが……とってもお行儀の悪いエトランゼがおるわけで。中でも厄介なのは、オクサリス(カタバミ)類です。
 園芸植物として出回っているオクサリス類は球根植物として扱われており、結実しないものが多いんです。タネをばらまいて増えるものがはびこるのは分かりますが、球根植物だとその心配はないよね。

 ……と思います? どっこい、そうは問屋が卸しません。

 オクサリスの球根は鱗片状ですぐにばらばらになり、その裂片が土の中に潜んで芽を出すチャンスを待ちます。一度葉を展開すればすぐに次の球根を作って増えるので、あっという間にあちこちに広がります。しかもその球根はしぶとく土の中に居座り続け、根絶させるのが非常に難しいんです。

 当初は園芸植物だったはずのムラサキカタバミやイモカタバミも、関西では野生化したものをあちこちで普通に見かけるようになりました。日本在来のカタバミが駆逐されかねない勢いです。


 
画像のオクサリス・ヒルタは南アフリカ原産で、『桃の輝き』の名で売られている園芸種です。普通に園芸店で売られていますが、こいつも雑草並みにしぶとい。画像のも、枯れたと思って戸外に捨てられた鉢土に潜んでいて逃げ出したんでしょう。これからどんどん増えそうな気配でした。

 ちなみに、こいつ。
 我が家では、あちこちの鉢植えからひょこひょこ顔を出し、困っています。古い鉢土を使いまわしたのが運の尽きでしたね……。足癖の悪い奴は逃げ足も早くて、本当に困ったもんです。くすん。

(2018-01-17)

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