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てぃくる 976 背負うもの

背負うものがなくなって
楽になったと思ったんだ


背負うものがなくなると同時に
僕の中身もなくなるなんてね


 葉を落としたケヤキの枝に、空蝉が一つ取り残されていました。
 何をも背負うことなく、誰にも背負ってもらえずに。
 葉を全て落としたあとも残り続ける空蝉に、ケヤキの若木はなんと声をかけるでしょうか。

 その向こうでは、セイヨウニンジンボクの枯れ穂が揺れています。
 誰も背負ってくれないから、わたしも残されてしまったんだよと苦笑しながら。

 雲間から差す冬日は弱く柔らかく。
 全てを影で塗りつぶしてはくれないようです。


風寒し斜陽を担ぐ配達夫

(2023-01-07)

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