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てぃくる 767 青い瞳

今年もあちこちでオオイヌノフグリが咲き始めました。


 実の形を犬の陰嚢に見立てた和名なんですが、ここまで花のイメージと和名とが合致しない草も珍しいです。聖女であるベロニカにちなんだ高貴な学名なので、和名ももっとましなのにすればよかったのにと思うんですけどね。決まっているものは仕方ありません。

 ちなみに本編のスタート、第一話で取り上げたテーマの草です。
 シリアスな過去を持ついっきですが、エトランゼ(異邦人)として引っ越してきた彼の転機と期待を、この小さな草で象徴させました。そう、この草は外来植物なんです。日本在来のクワガタソウは、身近なところでは見られません。

 このオオイヌノフグリ、そしてイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、フラサバソウ、みんな外来種で、都市部でも普通に見られます。
 外来植物はひどくはびこって嫌われるものが多いんですが、彼らは別扱い。これだけどこにでも生えているのに嫌われないのは、小さな青い瞳のおかげでしょう。

 早春を淡く彩る青い瞳を見下ろして。君にはコロナなんか関係なくていいねと愚痴を一つ。

(2021-02-28)

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