てぃくる 642 幽閉
「わたしたちをここに閉じこめた悪者は誰なの?」
「悪者こさえる前にすることがあるんじゃない?」
「救助を呼ぶスイッチはどこにあるの?」
「自分で作れば?」
「ここを出たら何しよっかなあ」
「出てから考えなさいよ」
「もう少し家具がほしいよね」
「ここに馴染んでどうすんのよ。ったく」
「閉じこもると立てこもるって、違うのかなあ」
「閉じこめられる、とは明らかに違う」
「だんだん居心地がよくなってきたわ」
「わたしはあんたの隣にいるのがいや」
「いつか王子様が来て、助けてくれるよね」
「腐ったわたしたちを見たら、黙って引き返すって」
「わたしたち、閉じこもっているの? それとも閉じこめられているの?」
「自分でそう思った方が、真実なんでしょ」
☆ ☆
センナリホオズキの古びたがく。中にうっすらオレンジ色の実があるのが見えます。
守られている間は、外に出られない。それを幽閉っていうのはちょっと違うんじゃない? 説得しますが、実はぼろぼろのがくからすら出られないようです。ってか、植物だから動けないし。
心を閉じこめるのも心が閉じこめられるのも、同じ幽閉なんだよなと。
妙に納得したりして。
春浅しサンダル片方閉じこもる
(2020-02-13)