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てぃくる 466 埋み火

 生の最後に火を点す
 それは
 いずれ消えゆくものの最後の輝き
 
 何かに急かされるでもなく
 何かを共に燃すこともなく
 赤々と
 小さく点る

 埋み火


 ハナミズキの赤い実が目立つようになりました。
 ものすごく鳥に人気があれば、あっという間に食べられてなくなるのでしょう。でも味が今いちなのか、結構遅くまで残っていますね。

 北米から園芸用として持ち込まれたハナミズキですが、日本でしっかり市民権を得たようです。街路樹や庭木としてあちこちで見かけるようになりました。
 その割にはあちこちから勝手に生えて来るということがありません。どこもかしこもコンクリートの蓋ばかりの市街地では、落ちたタネが芽を出せる場所がうんと少ないということかもしれません。

 異国からやって来たハナミズキ。その種はひととき赤く燃えて。
 ……静かに秋景に埋もれ、冷えていきます。

(2018-10-29)

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