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てぃくる 752 世の中と俺

 世の中は甘くないが
  俺も甘くない

 世の中が俺を締め出すなら
  俺は世の中から飛び出してやる

 世の中が俺を食おうとする
  俺はやすやすと消化されないぞ

 世の中が俺を見捨てるなら
  俺は自力で芽を出してみせる

 世の中が俺を無視するなら
  俺も世の中を無視するだけさ


 いや、そんなにスネたり、いきんだりするこたあないと思うんですが。

 寒風吹き荒ぶ中を黒黒と揺れているのはシラキの残果。果皮が割れて種子が転げ出ると、鳥のえさになります。
 果肉はないんですが種子の周囲に蝋(脂肪分)があり、鳥はそれを目当てに丸呑みします。糞と一緒に排出された種子は、蝋が消化されて発芽しやすくなる……そういう仕組みになっています。

 トウダイグサ科の樹木(シラキ、ナンキンハゼ、アカメガシワなど)やウルシ科の樹木(ヤマウルシ、ハゼノキなど)には種子の蝋を鳥にアピールするものが多く、果肉の甘みで鳥を呼ぶ樹木とは種子分散の戦略が違います。果実も、総じて見てくれが地味です。

 シラキの種子には大量の油が含まれており、かつてはそれを搾って灯し油などに使っていたそうな。今は油源植物として利用されなくなったため、もっぱら鳥のご飯になっていますね。


冬並木 行く人の背に骨の影

(2021-01-07)

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