見出し画像

てぃくる 227 小

 切り花としてよく売られている、コボウズオトギリ
 花を鑑賞するものが多いオトギリソウの仲間にしては珍しく、果実を鑑賞対象にします。


 植物の名前に『小(こ)』が付くものはいっぱいあります。その種が基準になる種よりも小さいというイメージで使われることが多いんですが、そうでないもの、つまり比較対象がないものも結構あるんです。

 たとえば、コナスビ。茄子とは全然似ていないのに、なぜか小茄子。ナスはナス科ですが、コナスビはサクラソウ科。まるっきり他人ですね。当然のことながら、オオナスビなんて草はありません。

 コミカンソウ。葉軸の下に朱赤色の小さな果実がずらっと並びます。それが小さなミカンに見えることからの名付けですから、オオミカンソウなんてのはありません。

 コセンダングサ。厄介なひっつき虫の一つですが、本家センダングサよりむしろ大きいんです。看板に偽りあり。オオセンダングサなんてのはありません。

 コボウズオトギリもそうで、ボウズオトギリという植物の小型版というわけではなく、ずらっと並んだ果実の様を小坊主大集合に見立てたのでしょう。オオボウズオトギリなんてございません。

 『小』という言葉をどこにどんな風に当てはめるか。その意図が見えなくなると、表面的なイメージだけが先走って、滑稽な結果を生むことになります。ご用心、ご用心。

☆ ☆


「おまえ、俺のこといい加減て言ったんだって!?」
「いい加減、決裁書類出してくれや」

「おまえ、俺のこと調子いいやつって言ったんだって!?」
「ここんとこ調子いいって言ってたやんか」

「おまえ、俺のことダメなやつって言ったんだって!?」
「企画書のダメ出ししてただけだって」

「……。おまえ、俺のこと好きなんだろ?」
「突っ込まれる隙だらけだとは思ってる」


カナニスレバ オナジナマエガ ナランデル
 デモ アタリノトコロニ ワタシノナハナイ

(2016-06-03)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?