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問題行動をどうとらえるか

 「こだわりや常動行動にどう向き合うのか」という問題は親御さんや教員の大きな悩みです。ですが、問題行動にもその人にとっての意味があります。その意味をどうとらえて、指導を組み立てるのかが大事ですね。

 その子のために良かれと思って問題行動を押さえ込んでも、そのことが不快な体験としてだけ残ってしまえば、発達の力にはつながりません。自閉症の子どもの、その行動が将来にどうつながっていくのか、その行動を押さえることが、のちのちどういう姿を導き出すのか。大切なのは、問題行動や取り組んでいる指導の意味を問う視点ですね。

 「問題行動を放置していると、将来、強度行動障害につながってしまうんじゃないか」と心配する親御さんや教員の方も多いと思います。このことについては経験上…何十年もしているわけじゃないので、数年の単位であったり、扱ったケースについてしかいえませんが…問題行動をゼロにしようとしたときには、子どもの感情を抜きにして、とにかく子どもの行動を押さえるという方向に流されやすい。その行動をしたかしなかったかについてピリピリして、問題行動をしたら怒る、しないことを強制する。問題行動が出ないときには、そのことでほっとして「問題行動がない」というだけですごしていたり。

 ポイントは、本人が自分の力で乗り越えて、それを実感することです。まわりの人たちは、本人を主体としたはたらきかけを考えることが必要ですね。

 問題行動があるかないかではなく、自分で気持ちを向けて、自分の行動をさまざまな形でコントロールしようとすることに目を向ける。それがとても大事なんです。不快な経験を積み重ねるのではなく、本人が向かっていきたいと思えるような援助や取り組みを考えることです。

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