プロダクトマネージャーは万難を排す


PMの仕事はプロダクトを作ることだけではない。
プロダクトの価値を顧客に届けるために必要なことすべてがPMの仕事だ。

もちろんチームに営業やマーケティングのプロがいるなら顧客獲得はその人たちの仕事だ。ビジネス開発担当がいるならアライアンスは彼ら/彼女らを頼るべきだ。

ただもしそうした各分野の専門家がチームに不在ならば、PMはみずから営業もマーケもビジネス開発もしなければならない。あるいは各分野の専門家を採用するように会社に働きかけたり自らリクルーティングしなければならない。

もし専門家がいても期待通りの働きをしていなかったら?例えばビジネス開発担当の交渉力が弱く、自社に都合の悪い経済条件になりそうだったり、自社のプロダクトに工数のかかる追加開発を要求されそうだったら?その場合は担当者の仕事をフォローして、よりよい条件でアライアンスが組めるようにしよう。「その条件では進められない」と突き返して交渉が進まなくなったり、交渉を決裂させてはいけない。

エンジニアの工数見積もりが保守的すぎて開発計画の承認を得られそうにない場合は?安全率が高くなる原因を考えよう。工数が膨らむ要因となる要件を特定して見直そう。技術的に不透明な箇所があれば技術調査の時間を取ろう。

プロジェクトの遅延を誰かのせいにしてはいけない。
「○○さんが仕事をきちんとやらなかったからプロダクト開発が遅れた」
「○○さんが要件を決めないから進められない」
そういった他責発言はPMには御法度だ。

とにかく何が何でも物事が前に進むように、顧客に価値が届けられるように万難を排するのがPMの努めだ。

「その分野の専門家として給与をもらっているなら、ちゃんと仕事をさせるべきでは」
「色々引き受けすぎてしまってPMとしての本来業務が回らなくなるのでは」
そんな疑問を感じるかもしれない。それはそのとおりだ。チームメンバーが期待された役割を果たしていない場合は改善を促そう。ただそれは目の前のプロジェクト進行を阻害しないようなやり方にしよう。

どうすればプロジェクトチームのメンバーそれぞれが成長し、より強いチームになるだろうか。PMが作るのはプロダクトだけではない。プロダクトを作り顧客にその価値を届けるためのチームを作るのがPMの役割だと思おう。

「期待どおりできてないからちゃんとやってください」
問題のあるメンバーにそう伝えるだけで改善するだろうか?
何を期待しているのか。期待を満たすためには具体的にどんなアクションを取ればよいのか。そうしたことを相手のモチベーションとスキルレベルを考慮してアドバイスする必要がある。
もちろんPMは完全無欠のスーパーマンではないから、PM一人の力では改善を促すアクションを導けないこともあるだろう。その時は他のチームメンバーやチーム外のプロフェッショナルの力を借りよう。また問題を解決するための専門知識をPM自ら勉強することも時には必要だ。

とにかくプロジェクトを前に進めよう。損な役回りだと思うかもしれない。顧客に価値を届け、会社にとっての成果を出せばあなとの評価は後から付いてくるし、PMとしてのスキルも市場価値も上がり続けるはずだ。

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