ザ・ショート・ショート・ショート２

＜勝ちか負けか＞
俺は携帯電話を見ながら歩くとき、絶対に道を避けない。ほとんどの人が俺を避けて歩くから。
俺は強面のうえ、いつも派手な服装をしているから相手がビビッて避けるのだ。
俺はいつも勝利を味わっていた。

今日も前から学生風の若者が携帯電話を見ながら俺の方向へ歩いてきた。いかにも弱々しい男だったので１００％勝ちを確信した。

果たして、学生風の若者は俺を避けて通った。
勝利の笑みを浮かべた次の瞬間、俺は開いていたマンホールの穴に落ちていた。

＜人って？＞
人の暖かさを知りました。
人の冷たさも知りました。
この年になって初めて知りました。
人って変温動物なんだって。

＜正直者のウソ＞
昔々あるところに、生まれてから一度もウソをついたことがない、正直者の男がいました。

殿様はそんな正直者にウソをつかせたくなりました。
殿様が正直者の男にウソをつくよう命令しました。殿様の命令には逆らえません。
正直者の男は、「明日、大地震が来ます」とウソをつきました。

果たして、翌日本当に大地震が来ました。正直者のウソは本当になりました。正直者の男には予知能力などありませんでした。

さて、正直者の男はウソをついたことになるのでしょうか？