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日曜美術館を見て(2022.11.27)

11月16日に静嘉堂文庫美術館へ行った。今回の『日曜美術館』のテーマは、その静嘉堂文庫美術館。

まずは付藻茄子の茶入れについて。
当時の技術者が粉々に割れた茶入れを一つひとつ拾い集め、隙間を漆で整えた一品。
しかし、昔はどこの家でも茶碗を割ると、それを継いて直したという。江戸時代にはゴミはほとんど出なかったと聞く。

今や壊れてもいないのに、新製品が発売されれば捨ててしまう、モノの大切さが忘れられた時代といえよう。テレビでは「資源を守ろう」と主張するドキュメント番組の間を、購買力をそそる製品の宣伝が埋めている。

モノを大切にしない気持ちは、ヒトを大切にしない気持ちにつながる。ヒトの気持ちを考えず、ヒトの心を平気で砕く。

粉々に壊れた心を一つひとつ拾い集め、それをつないでいくのは、ヒトの愛情だと思う。言い古された言葉ではあるが、「相手の立場になって考える」こと。それができないのは、モノの大切さを忘れてしまったからなのかもしれない。

もう一度、モノの大切さ、ヒトの大切さに目を向けられる時代にしなければならない。

曜変天目についても一言。これに触れないわけにはいかない。
現実の色とは思えない。見る角度によって色合いが変化する。見ていると茶碗の宇宙に吸い込まれてしまうのではないかと思ってしまうほどの美しさだった。

僕自身は、黒釉輪花盤と吹青輪花盤のふたつや、刺繍額「翁」、酒井抱一の「波図屏風」がお気に入り。他にも見どころがたくさんある。

皆さんも是非とも一度は訪れてみてはいかがでしょうか。

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