名画『モナ・リザ』に“神の子羊”と“天使の翼”を見た経緯と考察 #18
#18 おとぎ話(その2)-吉永小百合さんについて-
まず一人目は、日本人女優の吉永小百合さんです。彼女は、1964年(昭和39年)に公開された映画「愛と死をみつめて」(製作/日活 監督/斎藤武市 撮影/萩原憲治)において小島道子役を演じています(図79参照)。
この物語は、軟骨肉腫という不治の病におかされながらも懸命に生きた女性、大島みち子(映画での人物名は小島道子)と、それを支えた恋人、河野實(映画での人物名は高野誠)との愛を描いたものです。あらすじを、ウィキペディアより以下に引用します。
映画の中でも、ミコ役の吉永小百合さんは、阪大病院に入院することになります。初めの病室は個室なのですが、その壁に『モナ・リザ』のポスターが貼られているのです(映画開始から8分35秒ごろ、及び40分25秒ごろ参照)。この映画で、ミコやマコが、『モナ・リザ』について言及するシーンは一切ありません。『モナ・リザ』は、物語の筋とはほとんど関係なく突然出てくるのです。勿論、監督の斎藤武市氏もしくは撮影担当の萩原憲治氏らがなんらかの意図をもって『モナ・リザ』を登場させたのだとは思いますが、その意図は私には分かりません(図80及び図81参照)。
そしてその後、ミコの病気は悪化して、手術によって顔の左半分を失います。言い換えると、彼女の顔の右半分が残されるのです。
顔の右半分、それは、『モナ・リザ』でいうところのイエス・キリストの顔に相当する部分です。つまり神様は、「『モナ・リザ』の顔の右半分に注目してごらんなさい」というメッセージを、この映画を通じて伝えているように思えるのです。『モナ・リザ』はもともと、女性として認識されているため、その顔の左半分に注目することはあまり意味がありません。顔の右半分に焦点を当てて、それが男性の顔を描いたものであることを気づかせることが、この絵の謎を解くために不可欠なポイントとなるためです。
神様は、その重要なメッセージを伝える人物として、女優の吉永小百合さんを選んだのだと思います。おそらく、彼女の女優として力量だけでなく、その人柄にも魅了されたためでしょう。この映画で吉永小百合さんが演じる小島道子さんの右顔は、愛を源とする生気が眩い光を放つかのように明るく、そして儚さの予感を秘めています。モノクロ映画ということもあるのかもしれませんが、はっきり言って美しい、まさに神がかり的な美しさなのです(図82及び図83参照)。
また、映画の中で、病床にあるミコの枕元近くの壁には、ロベルト・フェルッツィ(Roberto Ferruzzi 1853~1934)作『ラ・マドンニーナ』に似ている絵のポスターが飾られています(映画開始から56分ごろ参照)。『ラ・マドンニーナ』は、もともとは10代の少女とその幼い弟を描いたものですが、この絵を目にした人々が、絵の中の美しい少女に聖母を重ね合わせて、いつしか『街角の聖母』と呼ぶようになったそうです。神様は、聖母子像としての印象が強いこの絵も映画の中に登場させることによって、『モナ・リザ』の本当のモデルが、聖母マリアとイエス・キリストであることを伝えようとしたのかもしれません(図84参照)。
ちなみにこの映画の中で、ミコ(小島道子)は、同室の隣のベッドにいる老婆の患者との会話で、自身がキリスト教徒ではないことを明言しています。原作の方でも、大島みち子さんがキリスト教徒である旨の記述はありません。しかし、映画におけるその老婆は、ミコがキリスト教徒ではないことをとても不思議に思うのです。ミコの人となりや言動に、非常に信心深い感じを受けていたためです(映画開始から1時間5分50秒~1時間7分3秒ごろ参照)。このシーンを見ると、この映画はキリスト教に何か深い関わりがあるように思えてしまいます。
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