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名画『モナ・リザ』に“神の子羊”と“天使の翼”を見た経緯と考察 #20

#20 おとぎ話(その4)-大阪の中之島について-
 先に紹介したとおり、『モナ・リザ』には、聖母マリアの『M』(イニシャル)を示す「二つの橋」と、サルバトール・ムンディ(イエス・キリスト)の『S』(イニシャル)を示す「曲がりくねった道」が描かれています。
 
 実は日本の大阪市には、この「二つの橋」及び「曲がりくねった道」と同じような構造物が存在します。このことは、先の、河野實さんと大島みち子さんとの3年間に及ぶ文通を書籍化した「愛と死をみつめて」の舞台となった旧阪大病院のことを調べているうちに見つけたものです(図89参照)。

 大島みち子さんが入院していた頃(1960~1963年)の阪大病院(以下、旧阪大病院と称します)は、平成5年に現在の吹田市山田丘に移転するまで、大阪市北区中之島にありました(図90参照)。

 旧阪大病院は、中之島の堂島川に架かる田蓑橋から玉江橋の間の北側沿岸に建っていました。つまり、この田蓑橋と玉江橋の二つの橋が、聖母マリアを示す「二つの橋」に相当します。
 
 そして、旧阪大病院の東側には、1967年から阪神高速11号池田線が開通しています。この11号池田線の福島~堂島川の区間が、逆S字状のカーブになっています。つまり、阪神高速11号池田線におけるこの区間が、イエス・キリストを示す「曲がりくねった道」に相当します。
 
 河野實さんと大島みち子さんとが大きな愛を育んだ旧阪大病院の近くには、聖母マリアを示す「二つの橋」と、イエス・キリストを示す「曲がりくねった道」が存在していました。尚、田蓑橋と玉江橋、並びに阪神高速11号池田線はいずれも現存しています(図91~図93参照)。


 もしかして他にも何かあるかもしれない。そう思った私は、中之島のことをネットで調べてみたのです。すると驚いたことに、中之島及びその周辺には、以下のとおり、『モナ・リザ』における「神の子羊」、「天使の翼」、「金の杯」、及び「生命の泉を表す噴水」のそれぞれを象徴するようなオブジェが存在します(図94参照)。

「神の子羊」・・・新ダイビルの羊の彫刻(旧・新ダイビルの4階に配置されていた2頭の羊の彫刻が敷地の四隅に移設されたものだそうです)(図95参照)

「天使の翼」・・・国立国際美術館のエントランスに設置されている天使の翼のオブジェ(建築家シーザー・ペリがデザインしたものだそうです)(図96参照)

「金の杯」及び「生命の泉を表す噴水」・・・中之島公園の剣先噴水(作品名「Sailing to the NEXT STAGE」は、水都大阪の発展に寄与した船運の歴史などを踏まえて、船をモチーフにデザインされたものだそうです。)(図97及び図98参照)

 剣先噴水における帆の部分が、「金の杯」に相当し、後ろの噴水が「生命の泉を表す噴水」を象徴するものです。帆の部分が夜にライトアップされた姿は、まさに「金の杯」のようにも見えます(図99参照)。

 この「Sailing to the NEXT STAGE」を、帆のある側からみたときの構成、即ち、帆が手前で噴水がその後ろにある構成は、『モナ・リザ』における「金の杯」と「生命の泉を表す噴水」との配置関係と一緒です。
 
 また、中之島の噴水は、何代かにわたって作り直されているようです。初代の噴水は明治30年ごろに建設されており、その姿は、『モナ・リザ』におけるレオナルドオリジナルの「生命の泉を表す噴水」や、『ヘントの祭壇画』における「生命の泉を表す噴水」とどことなく雰囲気が似ているような気がします(図100及び図101参照)。

 以上のとおり、現在の大阪の中之島には、聖母マリアを示す「二つの橋」、イエス・キリストを示す「曲がりくねった道」、「神の子羊」、「天使の翼」、「金の杯」及び「生命の泉を表す噴水」を象徴するものがすべてそろっています。
 
 勿論、これらのことはすべて偶然なのかもしれません。ですが、私個人としては、
 
 どんだけなのよ、中之島って。と、ちょっと愚痴を言いたくなるような気持ちがしています。
 
 中之島という場所を神様がよほど気に入っているのか、さもなくば、中之島には「愛」に関わる重大な何かが存在しており、その「何か」にすべてが引き寄せられているとしか私には思えません。




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