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散歩部活動日誌

3月23日(月)天気○

参加者 みずきち(20) マケちゃん(20)  姉さん(22)

散歩部の朝は早い。今日のめあては、ならまちにあるかき氷屋、「ほうせきばこ」である。この店は整理券方式で、開店前に整理券をもらいに行かなければ売り切れてしまうのだ。普段は部員一同寝ている時間に電車に乗っていた。とはいっても9時ごろだった。

部員、無事に整理券を手に入れる。順番まで少し時間がある。散歩部が時間を持て余したとき、することは散歩一択である。とはいってもほうせきばこにたどり着くまでにモーニングが美味しそうなカフェを見つけていたため、徒歩3分の散歩を経てカフェでモーニングを楽しんだ。カフェでは「パリピと隠キャの生き方」について話し合った。

ほうせきばこのあと、本格的に散歩を始める。ならまちの商店街はとても散歩のしがいがあった。中谷堂という有名な餅屋でよもぎ餅と煎餅を食べた。可愛いアイシングクッキー屋さんや食品サンプル屋さん、店主が鬼ギャルの兎の雑貨屋さんなど巡りがいのあるお店がたくさんあった。いま、鬼と兎って似てるなと思った。

私が特に惹かれた帽子屋さんがあった。そこで見たベレー帽がとても可愛かった。ベレー帽をかぶると一気におしゃれにこだわってるひとみたいになった。それのメリット・デメリットを考えて結局保留にした。

帽子をやめた最も大きな理由は、褒めてもらいながら、本当はみんな心の中で「みずきち帽子デビューしてて草」と呟いているのではないかと不安になるという自意識過剰な想像をしてしまったからである。本当はみんなにとっては私が帽子を被っていても被っていなくてもどちらでもいいのだが、私自身がベレー帽を被れる自信をつけてから被ろうと思った。全てのベレー帽を被っている人はきっと自他共におしゃれであると認める人だろうし、全ての帽子デビュー者はそのときが自己肯定感が一定のレベルまで達したときなのだろう。

その後、奈良県出身のナマケモノが幼い頃に亀にかっぱえびせんをあげた思い出のある猿沢池を散歩した。そこでは鳩の大軍が中年のサラリーマンを囲っていた。昼休憩中だと思われるサラリーマンは足元から腕まで何十羽と群がる鳩にパンをやり、時々自分でそのパンを食べた。たまに思い出したかのように一羽飛び立ち、それに釣られて鳩の大軍はみんなその場を去った。そして数十秒後またサラリーマンの元へみんなで帰ってくる。

散歩部一同この異様なのか日常なのかわからない光景を見て、「サラリーマンは鳩からの人気がほしいのか人間の注目を浴びたいのか」ということを議論したり、マケちゃんの思い出の亀がいないことについて話していた。マケちゃんは最後まで亀の姿を探していたが、特に見当たらなかった。猿沢池にはサラリーマンと鳩の他に、白鷺やそれを撮る人々、小魚の大軍と6枚切りくらいの食パンを丸ごとエサとして投げるおじさん、食パンには見向きもしないとても太った鯉などがそれぞれの世界で生きていた。

そのそばの坂では鹿が奈良らしく群れていた。観光客があまりおらず、食べ物が足りていないのか落ちた椿の花を食べていた。可愛いと思い近づいてみて、花をひとつ取り鹿に見せると、まあまあの迫力で近づいてきた。花は怖くなって投げた。鹿は私には見向きもせず、投げられた椿の花を食べた。

小さなおとこのこが鹿に近づいて触ろうとして、鹿がゆっくりと男児の方をみると怖がって逃げる、ということを繰り返していた。やっと歩けるくらいの小さい子だったが、その幼子に非常に共感した。

ドングリを袋に入れて大量に持ったおじさんと、同じようにドングリを持ったおじさんがドングリのスポットについて話していた。趣味というものは色々だなぁと思い、同じ趣味を持つコミュニティが新たに発生していく過程を垣間見た。周りにはそこら中の鹿が集まってきていた。中には直接ドングリおじさんのビニール袋を攻撃する鹿もいた。おじさんの助けもあり私と姉さんは鹿との距離を縮めたが、奈良出身マケちゃんは終始警戒を解かなかった。

その後、プリンの森に行った。健康思考の散歩部の活動ではなく対立組織であるデ部の活動なので、プリンの森については割愛する。散歩部としては、プリンの森から高の原駅までの1時間をまた散歩した。

今日の歩数 19825歩

昨日との合計 37570歩

ここ5日間合計 37596歩

何かがおかしいとは思った。


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