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カオル#5

最初晃二はカオルに遠慮がちだった。

まるきりの他人が急に一緒の暮らし始めたのだから

すぐうちとけられるはずがない。

まして二人は初対面。

晃二にとっても理由を知らされずに

同居人が増えたのだから、

どう対処して良いのかわからなくて当たり前だ。


だが意に反して、カオルはくったくがなかった。

初めから晃二を『コージ』と呼び、自分のことも

『カオルでいい』と言った。

年は晃二より四つ年上で、

高校を卒業したばかりだった。


カオルの前で上がってしまうのは一年たった今でも変わらないが、

少なくともカオルの飾らない性格に助けられて、

晃二は少しずつ自然に会話できるようになっていった。

たぶん、ある種家族のような感覚で

カオルをとらえていったのかもしれない。


カオルが突然晃二に 覆いかぶさるように重なって来て

晃二はベッドの上に倒れた。

「カオル、何を・・・。」

唇をふさがれて驚きのあまりジタバタ手足を動かしたが、

たいした抵抗にはならなかった。


カオルはコンビニで働いているので、時間も不規則だし

土日もほとんど仕事だった。

晃二とカオルが話せるのは平日の夜中、それもカオルが

たまたま早く帰れた時のみで、一週間に一度も食卓をともに

できないこともあった。

それでも確実に二人は親しさを増していった。


そのうち、晃二の休みの日にカオルが仕事を休める日もあれば、

家だけでなく 時に二人で出かけることもあった。

もっとも、それは晃二の受験が終わって、

高校生になってからなので、ここ数カ月なのだが・・・。


晃二は自分のしていることが もうわからなかった。

おそらくカオルも そうだったに違いない。

わかっていることは、二人が禁断の果実を食べてしまったと

いうことだけだった。


ありがとうございました(+o+)

カオル#6へ続く

カオル#5

新作駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

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