アスタロト公爵#22ハエの魔王ベールゼブブ
※この物語は 「阿修羅王」の本編より 悪魔の三大実力者のひとり、アスタロト公爵の作品を抜粋しています。特定の宗教とは 何の関係も無いフィクションです。
*****ずっと遠い記憶
「待って!走っちゃだめよ。追いつけないわ」
天使達が天上界の花園で走り回っている。
ここにいるのは最下級のエンジェルス達。それぞれ役目があるものの、少しのお休みの時間に戯れているのだろう。
「ほら、見て見て」
一人が花をつなげて花輪を作ったのを広げて見せる。
すると周りに集うエンジェルス達も、いっせいに手に持っているものを見せた。
「あ・・・」
皆が皆、花輪を持っている。最初に花輪を見せたエンジェルスがペロリと舌を出した。
「あ・・・誰か来るわ!」
一人が声を上げると、花びらが散るようにエンジェルス達が消えた。
物陰に隠れたエンジェルス達。
「・・・ベールゼブブ様とアスタロト様だわ」
花園に現れたのはセラフィム(熾天使)であるベールゼブブとアスタロトだ。
二人は散歩に来たのか、花園で微笑みながら語り合っている。
「素敵ねえ。あんな美しいご夫婦がいらっしゃるかしら?」
「そうね。
ウェヌス様はおきれいだけど、ご主人のヘパイトス様は・・・・ね」
「ベールゼブブ様とアスタロト様は、お二人ともお美しいわ。
まるで一枚の絵のようね」
「アスタロト様の長い黒髪、つやつやと輝いていらっしゃるわ。
あら、あなたも・・・黒髪ね」
エンジェルスの中の黒髪の娘を、他のエンジェルス達がそろって見つめる。黒髪の娘は、はにかんでうつむいた。
「あなた・・・きれいだわ。黒髪というだけじゃなく、きれいだわ。」
「・・・きれいだけど、私達は結局どうにもならないわ」
「なあに?それ。」
「女として、男の方と愛し合うことを許されている天使は少ないわ。
まして結婚したり、子供を生んだり出来るのは、上級三隊のセラフィム(熾天使)・ケルビム(智天使)・スローンズ(座天使)でも一部の方だけ」
「それは、そうだけど」
「ウェヌス様のように、たくさんの男の方の子供を生むことを許されるなんて、稀なことだわ」
「そうね・・・。あのミカエル様も、お相手のお一人らしいわ。
ほら、最近生まれたクビドという天使。すでにケルビム(智天使)の修行をされているとか。
ウェヌス様と、ミカエル様のお子様ですって」
「・・・いいわねえ。ご主人がいらっしゃるだけでうらやましいのに、あのお美しいミカエル様のお子様をお生みになるなんて・・・」
黒髪の娘は、仲間の会話を黙って聞いている。
ありがとうございましたm(__)m
アスタロト公爵#22ハエの魔王ベールゼブブ
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