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巴の龍(ともえのりゅう)#6

「どうやって追いついたんだ?

俺は人の倍の速さで甘露にきたんだぞ」

「馬」

葵(あおい)がこともなげに言った。

やられた。

しかもの顔は静かに微笑みをたたえながら、

目は笑っていない。

。あれはその、何だ。つまり・・・」

「つまり 私を捨てたってこと?」

怒っている。

が 怒っている。

「ち・・・違う。

を捨てるとか そういう問題じゃないんだ。

俺は ただ・・・」

「ただ、何?」

兵衛(ひょうえ)は言葉につまった。

手紙に書いたことは嘘ではない。

あれがすべてだ。

「私はね、兵衛

涼原(すずはら)の家とか、

三つ口定継(みつくち さだつぐ)とか

どうでもいいの。

私と兵衛は 小さい時からの いいなずけ よね?

その私を捨てて 勝手に出て行ったのが

許せないの。それとも、

私が キライなの?」

が突然 恋する乙女の目になった、

うっすらと涙すらうかべている。

兵衛は心の中で繰り返した。

だまされては いけない。

あれは 魔性の目だ。

「わかった。俺が悪かった。

一緒に帰ろう」

兵衛が覚悟したように言うと、

が微笑みながら腕をまわしてきた。

兵衛は にうながされて

歩きだした。

ほどなく二人は 馬をつないだ宿の前に来た。

は いっとき止め置かせてもらった礼を、

宿の者に 言いに行った。

今だ!

と 心の声が叫んだ。

兵衛は馬に飛び乗ると

一目散に走り去った。


巴の龍#6

ありがとうございましたm(__)m


新作駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね


SIRIUSの小箱」ってなあに?
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巴の龍#7に続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n5ee6b1fd3463

巴の龍#1 こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n6785ce9c010e



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