むかしむかしあるところにⅡ（ちょっとファンタジィ⑪）
むかしむかし あるところに
人並みの顔立ちだが ふりかえられるほどではなく
それなりのお金持ちだが 大富豪というほどではなく
おしゃれに気を使うが 飛ぶ抜けてセンスが良いほどではなく
それなりの学歴があるが 有名大学というわけではなく
少し注目されることもあるが かといって友達が多いわけでもなく
特に特に 大きな特徴というと難しいが それなりに個性的な
男の人がおりました
感動的なことを求め 派手になりがちなのを少し抑え
一部の人には注目されることもあるし
目立つことを望み 存在感を表に出そうとしている
女の人と 知り合いました
輝きたい 飛びたい つかみたい
しかし 理想ではないと 望みではないと
男の人からか 女の人からか 別れました
自ら輝きたい 輝く人と人生を歩みたい
そんな望みが 男の人を 縁遠くしました
男の人から去った時もあり
そんな男の人に嫌気がさし 去った女の人もあり
いつのまにか 齢を取りました
「気が付くと 私のまわりには 誰もいませんでした」
男の人は 涙を流しました
本当の意味の波乱万丈は 次から次に襲う不幸と闘うことです
自ら断ち切ったたくさんの人々と 本当に向き合って
誰一人 自ら切らずに付き合い続けたら
きっと たくさんの苦労があり
それは 波乱万丈といえたかもしれません
しかし 女の人に限らず
人を切り続けた 人を傷つけ続けた
自分に耳触りの良いことしか言わない人を残し
その人たちも 次に何かがあると切り続けた
男の人は 煙になりました
最期に気づけたでしょか
何故 自分がひとりなのか
誰ひとり見送らぬ煙が 昇っていきました
むかしむかしの おはなしです
むかしむかしあるところにⅡ（ちょっとファンタジィ⑪）
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