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トンニャン最終章#2大天使ウリエル

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「ウリエルの巻」のような意。トンニャンシリーズ最終章の最初の話です。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「知っていた?知ってたって、なんだよ」
ラファエルは立ち上がって、ミカエルの襟首をつかむ。
「知っていたって、クビドが裏切ることを知ってて黙っていたのか?」

「よせ。ラファエル。ミカエルは、リオールのことを知っていたと言っただけだ。裏切りを知っていたとは、言ってない」
ウリエルの言葉に、ミカエルは唇をかんだ。
「そうだろ、ミカエル。ちゃんと話してくれ。わたし達が解るように。ラファエル、ミカエルを離せ。話も出来ないだろう」
ラファエルが手を離すと、ミカエルは襟をただし、また座った。

 
何が起こっている。この心のざわめき。今まで、ずっと愛してきた人間たちの叫びを聞いてられない、町を業火で焼くほどの所業をなしてきた自分が、何故苦しい。
そして、ミカエルの優秀な息子、クビドの裏切り。ともに行動する、瓜二つのリオール。相まみえるはずの無い、天使と悪魔。しかし、悪魔ではない、クビドと同じ姿をしたリオール?リオール、なのか?

 
「・・・裏切りを知っていたわけではない。リオールとのことを、うすうす気づいていただけだ。もしかしたら、と疑っていた。しかし、瓜二つとは知っていたが、まさか、天使の姿で現れるとは予想もしていなかった」
うすうす気づいていたとは?

「ウェヌスが、わたしの城に来たことがあった」
言いにくそうに咳払いするミカエル。
「ウェヌス?クビドが生まれてから、会ったことが無かったんじゃないのか?」
「無かった。無かったが、たぶん人間の時間で、二十年か三十年くらい前に突然やって来た」
「何しに?」
「それは・・・。」
ミカエルは言葉を切って斜め横に顔をずらし、三人の天使たちの視界から自分の顔をそらした。

 
「その時に、クビドが他の天使に心が動いている、と告げられた」
「チェリー以外ってことか」
「その時に気づいた。クビドがリオールと会っていると」
 
「悪魔と?何故、問いたださなかったの?いくら、ルシファーの息子といっても、悪魔でしょ?」
「ガブリエル、よせ」
ウリエルが言うと、すかさずラファエルが言う。
「ウリエル、冷静さを装うな」

装ってなどいない。動揺している。
「ラファエル、ガブリエル。ミカエルを責めても、この事実は変わらない。ミカエル、おまえはそのことをクビドに問いただすことも無く、今まで知らぬふりをしていた、ということだな」
 
ミカエルは深い息をついた。
「そうだ。どこで、どうやって会っているか。それが何故、ほかに知れないのか、何も判らなかった。しかし、止めることが出来ないことだけは解っていた」
ミカエルは三人の天使たちを見据えた。
「二人が、わたしとルシファーの息子であり、対の天使と解っていたからだ」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#2大天使ウリエル

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#3 ウリエルへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n2085c7485657

前回トンニャン最終章#1 ウリエルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nfc2054b39135

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182

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