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トンニャン過去編#20チェリー・エンジェル(原題「天使チェリー」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「何が目的?」
コーラはすでに勝手にソファーでくつろいでいる。
「今日のトムと同じ事言うんだ」
「あのね・・・」
「ストップ」
コーラがチェリーの口を人差し指で押さえた。

 
「4Cの転校生、覚えてる?」
「エレン・ピースと一緒にいた?トンニャン・フェニックスでしょ」
「わかってるじゃない」
「わからないのはあなたよ、コーラ」
「わからないのは、あのトンニャン・フェニックスだわ」

 
チェリーも、コーラの横の一人用のソファーに座った。
「おかしいとは、思ってたわ」
コーラは身を乗り出す。
「でしょ?私はチェリーが天使だってすぐわかったわ。チェリーもそうよね?」
チェリーは軽く身体をゆらすようにしてうなずいた。

「えぇ、そのとおりよ。初めて見た時から悪魔だと思った。
だから、次の日アリス・ジョージャスに紹介された時は、本当に驚いたわ」
「サプライズはそれだけじゃなかった」
「トンニャン・フェニックスね」

「彼女、何だと思う?」
「人間じゃない事は確かね。でも、わからないわ。天使か悪魔なら、どんな姿に変化していてもわかる。でも、彼女は・・・」

 
コーラはまた立ち上がり、きょろきょろとチェリーの部屋を物色し始めた。
「ちょっと、話の途中に何よ」
「いや、見れば見るほど広くていいなと思って。それに、使ってない部屋もあるみたいだし」
「何が言いたいの?」

コーラは頭をかきながら言いにくそうに切り出した。
「魔王様はケチなんだ。私なんて、毎日そこいらで雨露しのいでるのよ」
「だから?」

 
「トンニャン・フェニックスの正体を知るのに、私の力が必要じゃない?」
「え?」
「私達が一緒にいた方が、なにかと都合がいいんじゃないかと思って」
チェリーはあきれて腕を組んでいる。
「ここに、住みたいの?」

コーラはチェリーに飛びついた。
「チェリーなら、きっといいって言ってくれると思ったわ。」
「ちょ、ちょっと、私は何も・・・」
「ダメ?」
「や・・・まづくない?天使と悪魔がその・・・」
「トンニャン・フェニックスの正体を知る為。二人の目的は今一致したのよ」
チェリーは半分納得のいかない顔で、小さくうなずいた。

「やったー!私達が一緒に住むって聞いたら、魔界も天上界もひっくり返るわね」
チェリーは、早速自分の部屋を選ぶ為に歩き回るコーラを、ため息をつきながら見つめていた。
二〇〇七年平成十九年六月十七日(日)(原文一九七六年十一月)

ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#20チェリー・エンジェル

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。
今回は1970年代に描いた、トンニャン過去編「トム・クワイエット」の続きです。

トンニャン過去編#21へ続く

トンニャン#19こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nf03f8ebf7f36

#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d


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