見出し画像

カオル #19

「はじめから この約束はフェイクだった。

金髪ちゃんを抱く気なんて まるきりなかったんだ。」

「だったら どうして?」

「あの時、言っただろう。

晃二、困ってるみたいだから 金髪ちゃんが

この家に近づかないように、約束したって。」

「俺のせいなのか?

俺のせいだって言うのか、カオル。」

カオルが頭を抱えながら、声を震わせて言った。

「最初からわかってたんだ。

あの日、金髪ちゃんと晃二を見た時から、

必ず二人が付き合うようになるって・・・!」

「カオル、だから俺達 つきあってないって。」

「まだ気がついてないんだ。

二人とも、お互いの気持ちに。」

晃二は呆れたようにカオルに再度言う。

「カオル、本人が違うって言ってるんだぜ。

勝手に勘違いするなよ。」

「俺にはわかるんだよ。わかってたんだよ。

だから・・・だから、金髪ちゃんを

晃二から遠ざけたかったんだ。」

晃二は言葉を失っていた。

それでもまだ、晃二はカオルの気持ちが

つかみきれていなかった。

カオルの頬から 涙がこぼれ落ちた。

それからカオルは、ゆっくりと話し始めた。


カオルは高校時代、三年間つきあった子がいた。

彼女の名は、ユキといった。

友達はつきあう相手がいたらキスするのは当然だし、

それ以上の関係も多かった。

しかし、カオルとユキは今では珍しい清い交際だった。

苦しい受験期もともに歩み、

卒業前に二人とも進学を決めた。

卒業式の日、二人は約束していたことがあった。

それは清い交際に終止符を打つことだった。

「ユキ・・・。」

晃二は その名を口の中でつぶやいた。

柚季のことを決して名前で呼ばなかったカオル。

ユキが柚季と重なった。

ありがとうございました(゜_゜)

カオル#20へ続く

カオル#19

過去作品・メルマガ・マインドブロックバスター
 HP/リザストはこちらから

最新作「駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

カオル#20こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n45b6dc353619

カオル#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/nb8d33d9d576f


もしよろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。いつも最後までお読みいただき、ありがとうございますm(__)m(*^_^*)